徒然草 11    

2000年4月30日に京都府立府民ホール アルティ
第二回久貝美弥子筝リサイタル
で演奏される筝独奏曲
「花、ひとつ…」
について、当日のプログラムより転載します。

  「花、ひとつ…」       作曲 川崎絵都夫

            1 つぼみ

            2 春のひかり

            3 咲く花

            4 さだめ

   ひとこと

     2年前、京都愛染倉で初めてお会いした久貝美弥子さんは、おっとりと
     優しく見える姿の中に音楽に対する熱い気持ちを秘めて、琴の研鑽に励
     む素敵な人でした。その久貝さんから委嘱を受け、琴独奏のための曲を
     書かせて頂きました。

     私の「委嘱による作品」は、委嘱者の音楽性や演奏の個性などにインスピ
     レーションを得て作曲するのが常ですが、今回もNHK-FMから放送された
     久貝さんの演奏を聴かせて頂いたり、新曲への想いを語ってもらったり、
     という中から湧きあがって来たイメージを元にして作曲を進めました。

     初めは、「華やかなソロの曲を」というお話しで、私もそのつもりでスケッ
     チを採り始めましたが、途中からどうも「華やかで明るい」というよりは
     「やや寂しげで激しさの有る」曲に変容していきました。理由ははっきりとは
     わかりませんが、「琴一面」だけで演奏することは必ずしも「華やかで明るい」
     だけでは在りえない、という想いの致す業のようにも感じています。それはまた
     人が人から離れてひとりで在るときの「拠って立つ気構え」という事を考え始め
     た結果、なのかもしれません。

     技術的な難易度はやや高くなってしまいましたが、曲に込められた「情熱」や
     「激情」を気持ちの入った演奏で表現することができる久貝美弥子さんによる
     熱演を期待しています。

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