ずっと読みたいと思っていた。阪神大震災の時、ハルキ文庫で復刻されたが、
その後すぐ無くなってしまい、ずっと手に入らず、最近 book off で新書版を見つけた。
「空前のベストセラー」というのがどういうものなのか、［上］が178版、［下］が308版という、
ものすごい数字を見るとよくわかる。
（自分が買ったのはこの版だったが、もちろんもっと出たのだろう。
絶版にしないで、常に文庫のラインアップに入れておいて欲しいと思う。）

自分より上の世代の人はみんな知っていると思うが、最近の若い人の間では
あまり知られていないのかも知れない。
今これを読むと、災害の描写等は、阪神大震災とか米国テロの映像を見て書いたとしか思えないが、
もちろんこちらの方が20年以上先なので、未来の映像が突然目の前に浮かんできた、
としか思えない。盛り込まれている情報量も膨大で詳細で、ワープロの無い時代、
手書きでこれを書いて推敲していたと思うとクラクラしてくる。
１億人の脱出とか全国各地の詳細な被害とかを描写しきっているのもすごい。
この小説が出る前は、地震が起こる原理というのは一般には知られていない専門分野で、
それを消化しきって、さらにＳＦ的アイディアで発展させているのもすごい。
将来、東海地震が発生することを誰も疑わないのは、この小説のおかげだし、
小説の中では、関西でも地震が起きている。
（阪神大震災の前までは、関西で大地震が起きると誰も思っていなかった）。

ここまで正確に当たった予言というのは、歴史上、例がないのではないか。