2.<定義2>による探査

2.1 x、y についての単純ループ

(3) w2の係数が負の場合

補助方程式による解として、まず、

x2+gy2=z2
x2−gy2=w2

において、w2の係数が−になる場合、すなわち、

gy2+x2=z2
gy2−x2=w2

をもとに解を探してみる。


上の定義が<定義1>と同値であることを確かめてみる。
まず、 x, y, z, w がこのような関係式を満たすとき、

m=gy2
n=x2

とおくと、明らかに、T(m)T(n)T(m+n)T(m−n)=g が成り立つ。
また、

X=(z4+w4)/2
Y=2xyzw

とおくと、

X2=(z8+2z4w4+w8)/4
Y2=4x2y2z2w2

 x2=(z2−w2)/2
 y2=(z2+w2)/2g

を代入すると、

 =4{(z2−w2)/2}{(z2+w2)/2g}z2w2
 =z2w2(z4−w4)/g

であるから、

 X2+gY2
=(z8+2z4w4+w8)/4+z2w2(z4−w4)
 X2−gY2
=(z8+2z4w4+w8)/4−z2w2(z4−w4)

実は、これらは因数分解できて、以下のようになる。

 X2+gY2
=(z8+2z4w4+w8)/4+z2w2(z4−w4)
=(z4+2z2w2−w4)2/4
 X2−gY2
=(z8+2z4w4+w8)/4−z2w2(z4−w4)
=(z4−2z2w2−w4)2/4

z, w は奇数となるので、

|z4+2z2w2−w4|/2
|z4−2z2w2−w4|/2

は整数となる。これらを、Z、W とおくと、

X2+gY2=Z2
X2−gY2=W2

が成り立つ。
この、

X=(z4+w4)/2
Y=2xyzw

という置き換えは、w2の係数が正のときも成り立ち、
ちょうど、対応する楕円曲線上の点の2倍の公式に対応している。


原始的な解 x, y, z, w を探す方法を考えてみる。
w2の係数が正のときと同じ要領で考えていくと、まず、

x=偶数、y=奇数、z=奇数、w=奇数

であることがわかる。
また、両辺を足すと、

2gy2=z2+w2

かつ、y, z, w が奇数であることより、g 及び y は 4N+1 の形の奇数であることがわかる。
(2次体の整数論の結果を使う。)
また、mod 8 で考えた場合、g の値に応じて、x の値の場合分けができる。
以上を元にプログラムを組んでみる。


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三島 久典