●郵便切手の歩みシリーズ●

the History of Japanese Postage Stamps (1994-96)

1894年に日本初の記念切手「明治天皇銀婚」が発行された。
その100年を記念し、1994〜1996年にかけて、6組の切手
(全20種)が発行された。

図案は、いずれも日本の郵便史を画した切手である。


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●第1集●前島密と竜切手

●前島密(まえじま ひそか:1835〜1919):明治期の官僚・実業家・「近代郵便の父」。最初は医学を学ぶが、のちに蘭学・英学を学び、薩摩藩に英学教師として招かれた。明治維新後は新政府に仕える。郵便制度調査のためイギリスに出張。1871-04-20(旧暦明治4年3月1日)、それまでの文書交換の手段であった飛脚制度に代わって「新式郵便」が開始された。

●竜切手(りゅうきって):郵便創業と共に、必要な郵便切手が4種(48文・100文・200文・500文)種が発行された。これら、日本最初の切手の図案は、雷紋と七宝の輪郭の中に向かい合った二匹の竜が描かれ、中央に料額が入ったもので、一般に「竜切手」(竜文切手)と呼ばれる。銅板に図案を手で彫って印刷原版が作られ、手作業で印刷された。なお48文という半端な金額は、江戸時代からの習慣で50文(半銭)相当であった。翌年、通貨制度の変更により、同じ図案で、目打の入った4種(半銭・1銭・2銭・5銭)が発行された。

●松田緑山(まつだ ろくざん:1837〜1903):幕末〜明治期の銅版画家。号は玄々堂。父に学び、京都で名所の銅版画を制作。明治元年、二条城で太政官札(紙幣)製造に従事。翌年、大蔵省紙幣寮(印刷局の前身)御用となって東京に移り、紙幣・郵便切手・証券などの製造にかかわった。

●第2集● 小判切手とキヨソーネ●

●エドアルド・キヨソーネ(Edoardo Chiossone:1832〜1898)イタリアの銅版画家・彫刻家。ジェノバ市の美術学校に学ぶ。1875年(明治8)大蔵省紙幣寮(後の印刷局)の創設に際して、彫刻師として日本政府に招かれた。近代技法を用い、各種の紙幣・証券・郵便切手の製造に従事し、また日本人への技術指導にもあたった。1876年、日本最初の新式凸版切手の製造を指揮した。これらは「小判切手」と呼ばれる。17年間にわたり勤務し、日本の印刷界への功績により、勲三等瑞宝章を受けた。退職後も日本にとどまり、麹町の自邸で死去。日本美術工芸品の収集家でもあり、現在、ジェノバ市には彼の寄付によるキヨソーネ美術館がある。

●小判切手(こばんきって):郵便の急速な発展に伴い、手彫切手では追い付かなくなり、キヨソーネの指導の下、1876年、日本最初の新式凸版切手が製作された。切手の中央部に小判型の輪郭があることから<小判切手>と呼ばれている。 旧小判(17種)・U小判(3種)・新小判(10種)の3群に分類される。

●第3集● 明治銀婚切手と郵便取扱之図

●明治大婚二十五年記念郵便切手:1894-03-09(明治27)、「明治天皇大婚二十五年祝典」を記念して発行された。日本最初の記念切手である。ただし、意匠には「記念」の文字はなく、公式には「特別切手」と称した。その額面は、当時の内国用封書・外国用封書の基本料金である2銭と5銭であった。欧米諸国で、結婚25年を銀婚(silver wedding)として祝う習慣に倣って、明治天皇の銀婚を祝ったものである。また、「大婚」とは、中国で皇帝の結婚を指す言葉である。

●郵便取扱の図:明治期の郵便の取扱作業の状況を、 14点の日本画で描き、折本仕立の画帖にまとめたもの。作者は柴田真哉(しんさい)。その内から、「雪中の馬車便による運送」を切手図案に採用。

●第6集● 切手趣味週間より「月に雁」

●切手趣味週間:1947年、郵政省は切手収集趣味の勧奨を目的として、「切手趣味の週間」を設定した。当時、この週間は、「郵便週間」の行事の一環として行っていた。翌1948年に、これにちなむ切手が発行され、1954年からは毎年切手が発行されている。

●「見返り美人」(1948年)と「月に雁」(1949年):ともに、肉筆浮世絵を図案とした大型切手で、好評を博し、切手収集趣味の振興に大きな役割を果たした(郵政省報道資料より)。ただし、一説には、大きくて使用に不便で、窓口に長い間残っていたともいう。なお、「見返り美人」は1991の趣味週間にも登場している。

●切手趣味週間・郵便週間の切手の概要:
1947-11-01:切手趣味の週間小型シート(1円×5枚)
1948-11-29:切手趣味の週間「見返り美人」
1949-11-01:郵便週間「月に雁」。
1950-11-01:「平等院鳳凰堂」小型シート。
1951-04-14:郵便週間(郵便創始80周年)小型シート(1円×4枚)
1954-11-20:切手趣味週間:10円切手10枚組合せ切手帳。
1955-11-01:歌麿の「ビードロ」。以後、日本画を題材にする。
1958-04-20:「雨中湯帰り」この年から4月に変更。
1965〜  :近代絵画の美人画
1975〜89 :日本画の2種連刷
1992〜  :静物画

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