「Sヤイリ」と言うギターメーカーに関してBBSで質問が多い事を書きます。
当然ですが自分は当時のSヤイリとはなんの関わり合いもありませんので、ネットで調べたり教えて戴いた情報から推測した内容です。
間違いがありましたらメールで連絡お願いします。 m(__)m

SヤイリとKヤイリの関係について

この質問が一番多いようです。
ここでのSヤイリはオールドのSヤイリと現在のKヤイリの関係として書きます。
まず企業としてはまったく別会社であり何の関係もありません。

まずネット上ではSヤイリの貞雄さんとKヤイリの現社長の一男さんがご兄弟と言う情報が多いようですが、お年から推測して違うと思います。
Kヤイリと言うと一男さんが創業者と思われている方が多いかも知れませんが、創業者は先代の儀市さんと言う方で一男さんの親父さんです。
この儀市さんと貞雄さんがご兄弟だったようです。

SヤイリとKヤイリが最初は同じ会社から始まったと勘違いをされている方が多いようですが、儀市さんと貞雄さんは名古屋の鈴木ヴァイオリンと言う老舗のクラッシクギター製造メーカーでギターの製造を勉強されていたようで、そこから誤認識が始まっているように思います。
その後、儀市さんは当初は名古屋近郊、(後に今の岐阜に移転)にて1935年に「(株)ヤイリギター」(以下Kヤイリ)を、1938年に貞雄さんは名古屋にて「矢入楽器製作所(株)」(以下Sヤイリ)を創業されて、それぞれ別々に手工にてクラシックギターの製造を開始したようです。

その後70年位からSヤイリはアコースティックギターYDシリーズを発売、Kヤイリがアコースティックギターをシリーズ化したのは推測ですが73年位だと思います。
その後残念ながらSヤイリは82年に倒産してしまいます。
Kヤイリは現在も国産・完全手工メーカーとして日本だけではなく海外でも高い評価を受けています。


復刻SヤイリとオールドのSヤイリについて


最近キョーリツ・コーポレーションから「Sヤイリブランド」のギターが発売されています。
「今のSヤイリと昔のSヤイリは同じ会社なの?」と言う質問も非常に多いです。
まず現在「Sヤイリ」と言う会社は存在しません。
あくまでもキョーリツの1ブランド名です。

最初に登場したのは「復刻YD−302」ですが、これは寺田楽器が制作しています。
このギターは貞雄さんの息子さんの寛さんが監修となっています。
その後の2000年限定モデルSYD−2000とか一部高級機は寺田楽器が制作していますが、現在大量に出回っている低価格の「Sヤイリ」は中国で生産して輸入されたものです。
82年にSヤイリが倒産後、寛さんは韓国に渡って現地のメーカーとギター製造を続けられていたようです。
その後中国に製造拠点を移動したのかな?と想像します。

新生SヤイリのYD−85を購入してみましたが、オールドのSヤイリの音とは違うと思います。
勘違いをされると困るのですがYD−85を含めて現在のSヤイリが悪いギターと言う意味ではありません。
詳しくは「ギター遍歴」にリポートしていますので、そちらを参照お願いします。
貞雄さん時代のSヤイリ独特なしなやかな「あの音」は再現されていません。
自分は貞雄さんのSは「サダ・ヤイリ」、現在のSは「エス・ヤイリ」だと思っています。

それから現在のSヤイリが「Since1938」と言うロゴを使っているようですが、これは問題では無いでしょうか?
昔のSヤイリと同じ会社だと勘違いさせる(誘導する)表現です。
もしこれを謳いたいのなら当時ユーザーと約束していた「ネック永久保証」もキョーリツとして受けるべきだと思います。
キョーリツが「Sヤイリ」と言う「矢入楽器製造」が過去に構築した「素晴らしいブランド名」を商売として使いたいのなら、過去の歴史も背負うべきでは無いでしょうか?
せめて「有償」でも結構ですからオールドのSヤイリの修理を受けるべきだと思います。

その気がないのなら「Since1938」はとっとと外した方が良いと思います。


サダオさんの名前について

実は「貞雄さん」なのか「貞夫さん」なのか当時の関係者の方でも解らない状態です。 (汗)
クラッシックギターのサインが「貞雄」な事と復刻SヤイリのYD−302の宣伝で創業者に「貞雄」と言う名前を使っている事から貞雄さんだと推測します。
復刻のYD−302は息子さんの寛さんの監修ですので、いくら何でも息子さんが親父さんの名前は間違えないでしょう。

おそらく「貞夫」説は70年中期のSヤイリのカタログに「貞夫」と記載してある事が原因だと思います。
この記載には「Sヤイリは昭和10年に名古屋で創業して」とあります。
昭和10年は1935年ですので間違えています。
たぶん「貞夫」記載も誤りだったのではないか?と推測しています。

でも、「真実」は闇の中です・・・・。 (汗)


OEMモデルについて


70年後半からローデン社のギターをOEM製造して、自社でも500シリーズとして発売したのは有名です。
それから同じ時期に製造されたモーリスのW−80より上の高級機もSヤイリがOEM製造しています。
ラベルに当時のSヤイリ工場長の高木さんのサインがあれば間違いないと思います。


YDのモデル返還について


最初期70〜71年位

YD−302 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ハカランダ合板 バック中央マホガニー3P ボディ縁装飾鼈甲柄 5万円
YD−303 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ハカランダ合板 バック3P 6万円
YD−304 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ハカランダ合板 バック中央メイプル3P 8万円 ペグ・ゴールド

この時代はSヤイリ単独で販売されたと言うより、モリダイラの1ラインナップとして廉価価格帯はモーリス、5万円以上の当時としての高級機をSヤイリで販売していた模様。
305以上は存在せず最高級機だった304のペグにはゴールドが採用されていたようです。(303もそうだったかも?)
形式名は指板の最終フレットに刻印。
301の存在も確認しています。(302とほぼ同じ仕様でハカランダの部分にインド・ローズを採用)
井上陽水さんがYD−304を購入したのは、この時期だったと推測します。
外部から調整不可のSQロッド採用。(1F指板下にロッド調整部分有り)

初期72〜75年位

YD−302 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ローズ合板2P 6万円
YD−303 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ハカランダ合板 バック3P 7万円
YD−304 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ハカランダ合板 バック中央メイプル3P 8万円
YD−305 トップ、スプルース単板 サイド・ローズ合板 バック・ローズ単板3P 10万円
YD−306 トップ、スプルース単板 サイド・ハカランダ合板 バック・ハカランダ単板3P 12万円
YD−307 トップ、高級スプルース単板 サイド・バック ローズ単板 受注生産 15万円
YD−308 トップ、高級スプルース単板 サイド・バック ハカランダ単板 受注生産 20万円

この時代も形式名は指板の最終フレットに刻印、SQロッド。

中期76〜79年位

YD−302 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ローズ合板2P 6万円
YD−303 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ハカランダ合板 バック2P 7万円
YD−304 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ハカランダ合板 バック中央メイプル3P 8万円
YD−305 トップ、スプルース単板 サイド・ローズ合板 バック・ローズ単板3P 10万円
YD−306 トップ、スプルース単板 サイド・ハカランダ合板 バック・ハカランダ単板3P 12万円
YD−307 トップ、ドイツ松単板 サイド・バック ローズ単板 バック2P 15万円
YD−308 トップ、ドイツ松単板 サイド・バック ハカランダ単板 バック3P 20万円

この時期から形式名はネック・ブロックに刻印、SQロッド。

後期80〜82年位

YD−302 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ローズ合板2P 6万円
YD−303 トップ、スプルース単板 サイド・バック、シャムガキ合板 バック2P 7万円
YD−304 トップ、スプルース単板 サイド・バック、ハカランダ合板 バック2P 8万円
YD−305 トップ、スプルース単板 サイド・ローズ合板 バック・ローズ単板3P 10万円
YD−306 トップ、スプルース単板 サイド・バック・ローズ単板3P 12万円
YD−307 トップ、ドイツ松単板 サイド・バック ローズ単板 バック2P 15万円
YD−308 トップ、ドイツ松単板 サイド・バック ハカランダ単板 バック3P 20万円

この時期からロッド調整部分がネック・ブロック近くの外だしタイプに変更。駒がエボニーからローズに変更。
YD401〜404、ローデンタイプのYD504〜508追加。

その他に76年位からサイド・バックがロ−ズ単板のYD−306が存在します。
ショップ・オリジナルか?

大体、合っていると思いますが情報があればメール下さい。 m(___)m

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