ここではCDMAに関す基礎知識コーナーとして記載します。

基本的に初心者の方に分かりやすくする為、比喩的な表現が多くなると思いますのでご了承下さい。
また、書き足ししている関係上話しの前後関係が若干滅裂になっていますがご容赦願います。m(__)m


Q1.今、何でCDMA方式なの? 

携帯電話(自動車電話)システムを実現する為には一定の周波数帯域で出来るだけ数多くの回線を同時に接続させる事が必要です。
この回線数確保の為に過去にいくつかのシステムが採用されて来ました。

一番最初に
携帯電話として採用された方式は周波数を分割して複数の回線を確保するFDMA方式(周波数分割多元接続)でした。
この方式は音声信号をそのまま変調し搬送波にのせて送信しますのでアナログ方式と言います。
日本ではのHICAP(NTT方式)、国外ではAMPS、TACSがこの方式です。
アナログ方式はシステム的に単純な為、簡単に傍聴出来てしまう欠点が有りますが電波状況が良ければ音声品質が固定並みに良い利点が有ります。
電波状態が悪化するとザー、と言う雑音(スケルチ雑音)が混入しますので電波状態が大変わかりやすい方式でした。(^^;;

しかしアナログ方式は周波数の利用効率が悪く帯域幅のナロー(狭帯域)化やインターリブ(半分周波数帯域を重ねて伝送する)化など色々な工夫がなされましたがユーザー数の急増に対応出来なくなりました。

その為、回線数を増やす事を目的に現在のデジタル方式(日本ではPDC)が採用されました。

デジタル方式として周波数を
一定時間別に分割して複数で繰り返し利用するTDMA方式(時分割多元接続)がを採用されました。
日本ではPDC、欧州はGSM、アメリカではD−AMPSがこの方式になります。


日本のPDC方式では当初、3人で繰り返し利用するフルレート方式が採用されました。
しかしフルレート方式も急増するユーザー数に対応出来なくなり6人で繰り返し利用するハーフレート方式が追加採用されました。

しかし、ハーフレート方式でもユーザー数の急激な増加によりビジー(基地局側の回線が塞がりで通話不能な状態)が多発するようになり基地局の追加設置を繰り返した結果、電波の相互干渉による通話切断や音声品質の劣化が多発するようになりました。(203シリーズが発売された当時が最悪でした。)

特にハーフレート方式の場合は冗長ビットが少なく電波干渉によるエラー補正が弱い欠点があり音声の劣化や回線の切断が激しくなり「ハーフレート=音声品質が劣悪」と言う残念な印象が定着してしまいました。

ハーフレート端末導入時のMOS試験では「全ての環境下でフルレートと同等かそれ以上の音声品質」と非常に高い評価をされていましたので、その実力を発揮出来なかった不遇なコーデックと言って良いでしょう。

また、固定網のISDNの導入やPHSの64Kbps化により高速通信時代に突入しPDC方式の通信速度の遅さ(フルレート帯域で9,600bps)も多く指摘されるようになりました。
そこで次世代のシステム
としてCDMA方式が提唱されるようになりました。

CDMA方式
(符号分割多元接続)は元々はアメリカで軍事用に開発された方式で、同じ周波数を複数の回線で同時に使用して、それぞれの回線に違う複数の符号(目印のようなもの。ノイズのように不規則な信号なのでPN符号と呼ばれる。)を付け、それぞれ違う回線で有る事をその符号から判別するシステムで回線数の増加と高速通信を共存出来るシステムです。

FDMA、TDMA方式は基本的に周波数を分割して使用するので、あまり広帯域を必要としない通話利用も、出来るだけ広帯域が必要なデータ通信での利用でも同じ分割した周波数の枠の中で使いますのでデータ通信には不向きな方式でした。

CDMA方式では周波数を分割せず与えられた周波数全てを通話・データ通信を問わず利用出来ます。

イメージ的に言えば、FDMA、TDMA方式は与えられた周波数帯を各回線別に細切りに分割して利用するのに対し、CDMAでは与えられた周波数帯全体に信号を薄く押しつぶして利用すると言ったらわかりやすいでしょうか。
この薄く押しつぶす事をスペクトル拡散と言います。

また、基地局間の切り替え(ハンドオーバー)をする時に今までのTDMA方式の場合は基地局毎に異なる周波数を使用する必要が有る為、受け渡し時に切り替えのタイミングがずれると通話の切断が発生する欠点が有りました。

CDMA方式は受け渡す側の基地局と受け取る側の基地局で同じ周波数が使用出来ますので、受け渡し時に一時的にその両方の基地局と同時に交信し確実に受け渡し完了後に元回線を切断するソフトハンドオーバーが可能となりますので通話の切断や音声の途切れを防ぐ事が出来ます。

また、移動体通信では受信している希望波に対して、複数の異なった伝送路を経由して移動機に遅れて到達する電波が発生します。
これは遅延波(マルチパス)と言い希望波に対して干渉しますので通話品質の劣化の大きな原因になります。

CDMA方式ではこの遅延波を
複数(cdmaOneでは基本3つ、W−CDMAの実験段階では6つ)受信合成する事により(逆拡散回路を複数使って受信する)希望波が劣化しても、この遅延波(マルチパスとも言う)の情報を有効活用する事によって品質の安定化をはかれるメリットが有ります。
この逆拡散回路を複数使って受信する事をレイク受信と言いソフトハンドオーバー時にも活用されています。
良くcdmaOneの技術解説で「3つの基地局と通信出来る。」と言う説明がありますが実際はそのような状態になるような基地局設計はされません。
利得の大きい受信波から順番に3つまで合成しており、大抵の場合は同じ基地局からの希望波と遅延波かせいぜい2つの基地局からの電波を合成しています。

現在、実用化に成功しているCDMA方式としてはIS−95cdmaOneはIS-95の呼称です)があります。
IS−95の電波利用効率は郵政省の答申ではPDCの1.05〜1.5倍とされていますが実際はほぼ同等か若干良い程度のようで拡散帯域も1.25MHzと狭く次世代方式としては若干見劣りします。

国連の下位組織で有る国際電気通信連合(ITU)では次世代規格としてIMT−2000の採用を目指しています。
IMT2000は全世界統一規格を目指し国際ローミング静止時で2MB移動時で384K程度の高速通信の実現化を目的としています。

方式としてはアメリカの主張している
IS−95の発展型のcdma2000(3X)と日本・欧州の主張しているW−CDMAが有ります。
(他のも多数の方式がありますがこの2方式が採用される事が決定と言われています。)
元々欧州は別規格の
TD−CDMA方式を提唱していましたが日本と欧州間(主にドコモとエリクソン社)で話し合った結果、ドコモW−CDMA方式(FDD)に欧州方式(TDD)を盛り込んだ形で日本・欧州共同方式のW−CDMA(FDD、TDD選択可)として規格の統一が計られました。

日本・欧州案のW−CDMAはヨーロッパ、アジアで広く使用されているGSMで採用されている有線系ネットワークMAPを採用しておりGSM方式を採用している国は有線系は今の設備を流用出来ますので経費的に利点が有る一方でアメリカで広く採用されているAMPS(アナログ方式)の有線系ネットワークであるIS−41には非対応な為にアメリカは有線系がIS−41ベースであるcdma2000の採用を強行に主張していました。

しかしCDMA方式のパテントの多くはIS−95(cdmaOne)として始めてCDMAサービスを実現したアメリカのクアルコム社が保有しており、クアルコムはW−CDMAにその特許を使用させ無いと報道しIMT2000の実現は暗礁に乗り上げてしまいました。

その為ITUはW−CDMAとcdma2000の両方標準方式として認める方針を示し、両陣営の歩み寄りを促する決定をしました。

その結果、特許権争いの最中にあったクアルコムとエリクソンはお互いのCDMAに関する特許を相殺(クロスライセンス)する決定をして事実上W−CDMAとcdma2000はお互いに歩み寄り共存する方向で動きはじめました。
その後、W−CDMA陣営の3GPPとcdma2000陣営で話し合った結果5MHzの拡散帯域を使ったDS−FDD(日本)、DS−TDD(欧州)、MC−FDD(米)と言う3つのモードによる統一規格が提案されました。
また、GSMのMAP上にcdma2000の無線部を乗せたり、IS-41上にW−CDMAの無線部を乗せる事も規格内に取り入れられています。

特に回線数不足で深刻な状態のドコモはW−CDMAの2001年5月からの運用開始を表明しており日本が世界で最初にW−CDMAサービスが開始される事が決定しています。
またJ−PHONEもドコモに半年遅れて2001年秋頃にW−CDMAサービスを開始します

昨年、郵政省から次世代移動通信システムに関する基本方針が発表されましたが、日本に割り当てられている上り60MHz(1920〜1980MHz)と下り60MHz(2110〜2170MHz)を20MHzごとに上り下りセットで3事業者に割り当てるとの事です。

この3事業者に限定した事により事業者間の再編は余儀なくされました。

まず日産のツーカー撤退によりツーカーグループが解体しJ−PHONEはデジタルツーカーグループを手中にし、全国展開が可能になりました。

セルラーグループの親会社で有るDDIとIDOの親会社のトヨタKDDが新規事業参加して残された最後の枠を目指した話し合いを続けて来ましたが3社が合併し2000年10月に”株式会社ディーディーアイ”(商標KDDI)として発足しました。

cdmaOne導入時にIDOとセルラーはドコモのつくった規格を追従しない方針を表明してドコモがW−CDMAに移行する前を狙い既にアメリカで実用化されているcdmaOne(IS−95)を開始しました。
(アナログを第一世代、TDMAデジタルを第二世代と呼ぶのに対してW−CDMAやW−cdmaOneなどの広帯域CDMA方式を第三世代と呼びますがcdmaOne
はその中間に位置するので2.5世代と呼ばれています。)

cdmaOneはドコモのW−CDMAと比べると使用帯域が狭く、実用回線数やデータ通信速度では見劣りしますのでクアルコムはW−CDMAの対抗方式としてcdmaOneの発展型であるcdma2000を導入させる予定です。

cdmaOneのデータ通信サービスですがC30×系よりパケット方式を採用して従来の14.4Kから下りで最大64Kbps(複数回線を束ねる方式)となりました。

一方、W−CDMA方式静止実験ながら2MB(2、000、000bps)の通信速度を実現させており、音声どころか動画さえ送信出来る能力が有ります。
また、歩行程度の移動時の電送速度でも384Kbps(384、000bps)大幅に高速になり、現在は移動中での2MBの転送実験や屋外実験も行われています。

ただし、この2MBや384Kbpsの通信には大電力が必要となりますので小型の携帯電話としては制限がありますので移動機単体ではcdmaOne同様の64Kbps(上下同時速度)か128Kbpsくらいで実現されるでしょう。

サービスイン時にはW−CDMAの2G帯と近い周波数帯を利用するPHS(1.9G)に対する干渉問題があり各事業者が利用出来る周波数帯は5M〜10Mと限定されるようですのでドコモの場合は通信速度はパケット384Kが最大になるようです。

ドコモでは、情報サービスとしてiモードを開始させましたが、これをベースにW−CDMAではこれを発展させた情報サービスを考えているようです。
iモードは502で液晶のカラー化を実現し503シリーズではJAVA対応によりプログラム転送が可能になりゲームやW−CDMA導入時には動画サービスの採用も可能となります。
その後J−PHONE、AU各社もJAVAの採用を表明しておりこの分野も激しい競争になりそうです。

64Kの伝送速度があればMPEG4の採用により1秒間に10〜12コマ程度の動画を転送出来ますので、現在の文字情報に液晶のカラー化と映像を融合させた新しい情報サービスに発展させていくでしょう。

iモード利用者は2001年1月現在で2,000万登録に達しており携帯電話の音声利用から情報サービスへの劇的な時代の転換期が来ている事を実感させられます。
IDO・セルラーは対抗策としてEZサービス、J−PHONEもJ−Sky Webと言った文字サービスが開始されましたのでこの分野も激しい競争になりそうです。

また、W−CDMAで実現される384Kbpsや2MBのデータ通信が可能になりますとTV放送のデジタル化との連動、自動車のITSとの連動、IPv6による家電製品のIP化、音楽配信、ゲーム業界との連動など現在では予想出来ないような新しいサービスを実現される可能性がありモバイル環境が一新されるかも知れません。
よく携帯電話による高速データ通信はあまり必要性が無いと言われる方が多いようですが、この高速通信にこそW−CDMA(IMT−2000)の本質が有り数限りない可能性を秘めていると言って良いでしょう。

昨年ドコモはW−CDMAの共同開発メーカーとして11社を選択したと発表しました。
従来のムーバメーカーである松下通信工業、NEC、三菱、富士通とエリクソン、ノキア、モトローラの世界NO.1〜NO.3メーカーに加え東芝、シャープ、日本電装、ルーセントが選択されました。
ムーバ各社と世界のBIG3は当然としても、残りの各社にドコモの戦略が見えてきます。

東芝は、無線通信規格のBlue ToothやMPEG4のコーデックLSI技術を持っており、シャープは高度な液晶技術、日本電装は自動車関連との連動や高いメール端末のコンテンツ、ルーセントは網側の技術を持っています。
これで、ドコモはW−CDMA開発に必要な各種技術をとりあえずすべて手に入れたと言って良いでしょう。

2000年3月、突然に「DDIは次世代規格でW−CDMAの採用を決定した。」と言う報道がなされました。

この報道を受けてクアルコムはKDDIがcdma2000を採用し無いのならアメリカの携帯電話事業者と組んで日本市場に直接参入する、と発表しました。

これに驚いたDDIは一転cdma2000の採用を決定しました。

これにより日本国内で世界に先じてW−CDMAとcdma2000が直接対決する大変面白い展開になり、大変わくわくしています。

両者の業界団体としてはW−CDMAを支援する団体で組織される3GPPとcdma2000を支援する団体で組織される3GPP2があります。

W−CDMAとcdma2000の違いですが簡単に言いますと通信時に拡散させる方法が違います。
W−CDMAは5MHzの帯域を使用する場合は上下とも5MHz帯に拡散させますのでDS−CDMA(直接拡散)方式と言う一方でcdma2000(3X)は現行のIS−95との互換性確保の為に下りに関しては1.25MHz×3周波数に分割しますのでMC−CDMA(マルチキャリア)方式と言います。

あえてcdma2000に3Xと付けたのはcdma2000の規格にはMCである3Xと現行のIS−95の発展型である1Xが縫合されているからです。
ITUでIMT−2000として承認されたcdma2000はW−CDMAとの互換性を確保させる為、同じ5MHzを使用する3Xですが、3GPP2で認定されているcdma2000には1Xと3Xが混在させており大変わかりにくい状態です。

IMT−2000では20MHzの周波数が与えられますがその場合、ドコモの場合は20MHz、10MHz、5MHz、1.25MHzと必要と通信速度ごとに拡散帯域を変化させる事が可能で1.25Mを複数束ねる事が可能です。
(2000年9月に3GPPにより策定されたリリース99では20MHz、10MHzの拡散帯域利用は取り合えず取り消されています。)

cdma2000の場合は5MHzを利用するの3Xを4周波数分束ねて最大で12X(俗称)が可能になります
クアルコム陣営は当初3X(MC−CDMA)方式をIMT−2000として投入する予定でしたが、設備投資額が高く採用を表明をするキャリアがありませんでした。
そこで現在はIS−95(cdmaOne)ベースの発展型に方針転換がなされています。

まずは下り方向にも上り同様の細かい電力コントロールを実施してWalsh符号を現在の64から128にして回線数を増加させる事と、下り方向の通信速度を現在の64Kから144Kbpsに向上させる1Xを2001年中に予定しています。

更に1Xの拡張バージョンとしてHDRを導入して1.25MHzの拡散帯域で2.4M(平均600K)の転送速度を確保すると言う1xEV-DO同等な条件で5Mの転送速度が可能とする1X TREME(1xEV-DV)があります。
HDRと伝送されてくる各回線のエラー発生率(BER)を判断して品質のよいデーターは多重化した変調方式(16QAM)を使用して高速に伝送して回線を早く空けBERが悪いデーターはそれに見合った変調方式により低速でゆっくり伝送させる事により全体の利用効率を上げる方式です。

HDRとTREMEの一番の違いはHDRは構成が比較的シンプルな利点がありますが通信で周波数を占有される為に音声と通信用に別チャネルを用意する必要があります。
共有出来ない事は周波数運用上にデメリットとなりますが1CHを独占させる事により効率的な高速通信を実現させていますのでメリットでもあります。

この通信と音声で別CHが必要になる事からなのかHDRは通信専用機になるとの報道がありますが一つの移動機で音声と通信で違う周波数を使えば良いだけですのでおそらくは音声は現行のものか1Xと併用させる移動機になると思います。

TREMEはW-CDMAのように音声と周波数を共有出来るメリットがありますが複雑で実実験が送れており最近の情勢では3GPP2ではHDRが主流のようで現在の800MHz帯のcdmaOneは1xEV-DOに進化させて2G帯のIMT−2000も当初は同方式でサービスインしそうです。

ITU-Rでも1xEVDOはIMT−2000の正式な方式として追加採用されました。

この背景にはアメリカはいまだアナログ方式が多く使われており回線不足の問題が無い事と、どの家庭にも高速通信が既に普及していますので携帯電話による高速データ通信にあまり興味が無く設備投資が必要なIMT−2000(3X)への移行には消極的な背景が有ります。

最近、クアルコムから「3XにHDR技術を導入させて更に高速化を実現化させる(3X k=3)との報道があり、1x→1xEV-DO→3xHDRと言う路線が見えてきました。
これにより日本国内では現行の800MHz帯のcdmaOneは1xEV-DOとして発展させ、2G帯のIMT−2000は1xEV-DOから3xHDRと展開させ既にエリアの完成しているcdmaOneとローミングさせる戦略が取れますのでW-CDMAに対して先行出来る可能性が出て来ました。

しかし3Xが実際に導入されるかは今のところ不鮮明で導入されない可能性も高いです。


Q2.最近のCDMA方式の説明で拡散と言う言葉をよく聞くけどどういう意味?

CDMA方式でもPDC同様に送信機側で変調(1次変調)されます。
CDMA方式ではこのまま電波に乗せずに拡散と言う手順が入ります。

これは変調されたデータを更に変化速度の速い信号で2次変調がかけられます。
その結果(1次変調÷変化速度の速い2次信号)となり送信データは広い帯域に広がります。

この事をスペクトル拡散と言い2次変調信号をPN信号と言います。
受信側では同じPN信号を使って逆拡散された後、2次復調されて元データに復元される訳です。
ここで重要なのはまったく同じPN信号が解かりませんと逆拡散出来ませんので受信時の鍵の役割を果たします。
この鍵が傍聴防止になるので秘話性が高い方式と言えます。

このPN信号は完全な乱数で有る必要が有り少しでも似通ったPN信号が使われますと相互干渉を起こしていしまいます。(時間差の有る相似性でも不可です)
この為、PN信号の数には制限が有り実際にはPDCと比べてもそれ程電波使用効率は高く有りません。
(単純な拡散通信ではPDCの2〜3割程度の回線数しか確保出来ない。)

この相互干渉の少ないランダムなPN信号を生成する為にシフトレジスタを使うM系列や2つのシフトレジスタにより更に複数のPN信号を生成するGOLD系列と言われる方式が採用され、少しでも干渉が少なく多くの回線数を確保出来るような工夫がなされています。

相互干渉による回線数の限界と言うCDMAの根本的な欠点を補うため、クアルコムは可変速コーデックやVoice Activation、送信電力コントロールなどにより干渉を減らし回線数を増やすIS−95(cdmaOne)方式の実用化に成功させています。

また、ドコモはスクランブル信号とスプレッド信号の2つの拡散符号を組み合わせて無限に近いPN信号を生成する2重拡散符号により、より多くの回線数を確保させるW−CDMA方式の実用化を目指しています。

CDMA方式としてはDS(直接拡散方式)とFH(周波数ホッピング方式)が一般的に考案されています。
FH方式はPN符号と拡散周波数を変化させながら通信を確保させる方式で傍聴が非常に難しい特徴がありおもに軍事用に使われています。
最近注目されている無線方式であるBlue toothもこのFH方式を採用しています。

現在携帯電話として採用、また考案されているcdmaOne、W−CDMA、cdma2000共にDS方式に種別されます。
また、W−CDMAには上下の回線の多重化方式にTDD(時分割)やFDD(周波数分割)の2つの方式がありますのでW−CDMAはDS方式でTDD、FDD併用となります。
日本は周波数利用効率でメリットがあるFDD方式、欧州はTDD方式が採用される予定です。

また、cdma2000(3X)はIS−95との互換性を確保する為、下りに関しては5MHz帯域に直接拡散させず1.25MHzごとに3つの周波数(キャリア)を束ねて使用しますのでW−CDMAをDS方式と言うのに対して3XはMC(マルチキャリア)方式と呼ばれます。
cdma2000はDS方式でMC採用、上下の回線多重化にはFDDと言うのが正しい言い方でしょうか。(^^;;

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