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(電波月) (有頂天)

06 プレイスタイル論

(2005年2月20日執筆)

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有頂天の演奏は、他では見られない特徴(の組み合わせ)を持っています。それを少し語ります。

音楽やらないヒトにはなんだかよく分からない話になりますが… いちおう自分もアマチュアミュージシャンとして多大なる影響を受けたので、いろんなことを語りたいのです。

#01 変拍子・変小節具合

たまに病気のように顔を出し、楽曲にアクセントを与える。

sample #1:心の旅

「あいあいあいあいや、今夜! だけはぁー」で一回ブレイクして止まる。

「君を抱いていたい」の後で半小節単位のフィルを4つ入れる。これでAメロ前半は5小節。1小節多い。

ノーマルでいうところの7小節目「君は汽車の中」で、サクっと間奏に入る(すなわち1小節足りない)

しかも間奏は7拍子。

sample #1:ト・モ・グ・イ(間奏)

「レドシレドシ!」というブレイクを、バンド全体のユニゾンでぶつける。その後空白をあけ、サンプリングでヘンなものを鳴らす。ブレイク演奏回数は、書いたとおり2回が基本だが、1回になったり4回になったり。複雑。

それでいて、聞いていて小難しさは感じない。さらに、サビに戻ると元気なポップ。これぞ有頂天マジック。

(おまけでつけたキャッチ演奏部分は、Cm-BmM7と奇形進行。デモニッシュでありながら、かわいい。次節の素っ頓狂サンプルでもある。)

こういう奇怪なことをしていても、あくまでもポップに聞かすところが有頂天の魔力だ。


ケラの発言を、うろ覚えだが掲載する。

多くのひとに思想を届けたいなら、音楽はポップじゃなくちゃいけない。パンクのような社会解体・再構築思想があるなら、言葉は届きやすいものじゃなくちゃいけない。

ハードなだけのパンクなら、誰でもできる。真にパンクでありたいなら、音楽はポップじゃなくちゃいけない。

有頂天の音楽がパンクかといえば(一部を除き)NOだが、その思想や行動はまさに真のパンクだったと私は思う。

#02 メロディの素っ頓狂ぐあい

不協和音的な音の飛ばしかたをよく使う。ピース[コレクション]、でっかち[ジュジュマンのうた]など。後述のベースサンプル[べにくじら]では、コード展開・転調がかなりやっかいなのを述べる。

ここではまた違うサンプルとして。

sample #1:カイカイデー

「ビックリ箱を〜」の部分がすごく素っ頓狂な響きに聞こえる。トニックはCでコードは4分音符ごとにすばやく展開してC-C-F-G。これに対しメロディは。

意外なことに、単純なミ音で、スケールを外しているわけでもなんでもない。しかし、ミを伸ばしたままFやGに展開するのは異常だ。FM7-G6というコード名はつけられるが、演奏はそれを許容しておらず、あえて外している。それが不思議な雰囲気を出していると思われる。

(注:↑はオクターブ上、↓は下を意味する。)

sample #2:east

コードからしてキテレツで、B♭-B♭-B♭-E|B♭-B♭-E-E(IとIV#)。ホールトーン4度というところか。

トニックがシ♭なのに、ロングトーンでシのナチュラルを入れる。この緊張感、たまらない。ミも同様にスケール(基本ドレミファソラシド)から外れる。そこをあえて選ぶ。このテンション。

(再掲)こういう奇怪なことをしていても、あくまでもポップに聞かすところが有頂天の魔力だ。


ここから先は、さらに演奏関連用語が増えるので、演奏しないひとにはサッパリ分からんと思います。すいません。


#03 ドラムの特異性

ふつうのロックバンドは、ドラムには基本パターンがある。バスとスネアで「ドッン ドドン」など。さらにハイハットで「チッチッチッチ」と一定を刻む。それを曲を通してキープし、視聴者に分かりやすいビートを提供する。

ところが有頂天では。そういう演奏もするが、そうでない部分が多い。

ひねくれたリズムでアクセントを強調する

フュージョンのひとたちがやるような手法。

sample #1:BYE-BYE
ドッ ッッッ ッッド ドッッ。前ツメリのリズム。
sample #2:
ッッッッッ ッッッッッ。3+3+2。スネア+バス+ベース+ギターがユニゾンで、かなり強いリズムを提示。
sample #3:east
ドッッド ッドッ ッッッッ ッッッ。スネアを小節の最後まで叩かずに、タメてタメていく。

タム連打でメロディアスに音場を包み込む

フィルではなく、基本パターンからタムを叩きまくり。 ドラムがメロディアス。 ハイハットのわかりやすいリズムは省略。 プログレのひとたちがやるような手法。

sample #4:ト・モ・グ・イ

まごうことなきタムだらけ。

sample #5:テントの外の2つの革命(ドラマ)
ッッッ ッッッ」というひねくれリズムの合間に、タムを叩きまくる。
sample #6:ベジタブル
「ドドドド ドッパパ タタタタ タンタン ドドッ」というタメスネアリズムの2週目の頭にタムを叩きまくる。

展開として

Aメロ・Bメロ・Cメロ(サビ)などと展開するにつれ、大胆にドラムパターンを変える。ここまで極端なバンドは珍しい。

sample #7:ベジタブル

Aはコード展開も特異で、B♭-B♭-A-C(I-I-IV♭-II)、すべて3度なし無調(パワーコードonly)。

sample #7:べにくじら

#04 ベースとギターの特異性

有頂天は、音楽の雰囲気の中心にベースを置く。コード分散和音が主だが、ときには歌うようなメロディも。

ドラムとベースがメロディアスだからこそ、ギターはsimpleにリズム カッティングに始終する。といってもギターにテクニックがないわけではない。コードの載せかた・エフェクトの掛けかた・ミュート具合、そしてリズムの選択など、かなり気を使っている。

sample #1:

コード展開を引っ張るかたちで冒頭音を押さえながら、ドラム+ギターとユニゾンでリズムを作る。“ロックバンド”の手法。リズムは8分の3+3+2。

エンディングのリフレインでは、ふつうの8beatにして疾走感を出す。それもこのタメとの対比があってこそ。

sample #2:east

前述のとおり、ドラムは「ドッッド ッドッ ッッッッ ッッッ」。タメの効いたリズム。

これに対し、ベースは疾走感のある16分の3+3+2を繰り返す。

:↑は上オクターブを示します。同様に、↓はオクターブ下)。

ギターは1・3表ビート頭でジャーンと一発カッティングするのみ。すると、構造はこうなる。

演奏自体は難しくないが、アンサンブルのセンスがいい。このバンド全体のグルーヴの出しかたが、実に中期有頂天(実にニューウェイブ)

([壺]でのユニゾンは、後期有頂天(ロック的な要素を追求した時期)のスタイル。)

sample #3:べにくじら

正直難しすぎて採譜できない。

この曲では、A・Bメロはギターなし、Cでも冒頭ジャーンのみ。シンセもピコピコ音で一定リズムを提示するのみ。すなわち、音楽のニュアンスはベースが担っている。それにふさわしい複雑かつカッコいい演奏だ。

sample #4:BYE-BYE

これは演奏は一切難しくないけど、和音アンサンブルの妙の例。

すると、全体として不思議で複雑な和音となり、美しさを増す。

逆の例としては、BOIL時の[心の旅]のイントロ。ベースはトニックから動かない。ギターがI-III♭-IV-VI♭と激しく動きながら、怒涛のカッティングを入れる。これもサイコーにカッコイイ演奏の1つ。






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