
(2000年1月公開)(2005年2月改訂)
《空手バカボン》 バカボンのススメ| 孤島の檻| バカボンの頭脳革命
《筋肉少女帯》 とろろの脳髄伝説| ノゾミ・カナエ・タマエ| 高木ブー伝説| 仏陀L| SisterStrawberry| 日新パワーステーションにおけるライブ
バカボンのススメ
《曲目》寸劇「ラジオ 愛の講座 バカボンの教え」/大もうけバカボン/寸劇「バカボン様には嘘をつけない」/踊れバンバン/私はみまちゃん/あの素晴らしい愛をもう一度/中央線ヤクザブル−ス
(注:当時大槻は「おおつきモヨコ」と名乗っている。ドグラ=マグラの登場人物の名前からつけた芸名。)
シングルサイズレコードをLP速度(33回転)で流すミニアルバム。
再生するといきなりラジオ番組風の演出で、ケラ(司会)が教祖の大槻を紹介する。大槻は、バカボン教の教義を説明する。
バカボン様の教え、それは、なにくそ。
なにくその「な」! 投げ出さない。
なにくその「に」! 逃げ出さない。
なにくその「く」! くじけない。
なにくその「そ」! 背かない。バカボン様は、いつも貴方のそばにいらっしゃいます。
ここで唐突に、オルガンとリズムボックスによる演奏が始まる。ミドルテンポ。旋律は見事なプログレシヴロック。アレンジはテクノ風味。短調で半音を活かしたヒネクレメロディの上に、強烈な歌詞が乗る。
沼にはまったねえさんが 叫ぶよ僕に助けてと
「坊やお願いこのままじゃ あたしおぼれて死んじゃうわ」
そいつあスゲエや こりゃみもの 僕が死ぬこと見ててやろ
あわれキレイなねえさんは 悲鳴もろとも沼の中「バカボン バカボン バカボン」
沼にはまったねえさんの 死体見つけたお金持ち
「坊や キレイなねえさんの 死体わたしに売っとくれ」
こいつあスゲエや こりゃステキ 金貨5枚でどうですか?
トントン拍子で売り払い 僕も今日からお金持ち「バカボン バカボン バカボン」
そいつあスゲエや こりゃみもの 僕が死ぬこと見ててやろ
どんなに遠くに離れても 愛しているよ ねえさんを「バカボン バカボン バカボン」
「バカボン バカボン バカボン」
演奏レベルは低いのだが、これほど狂気を感じる音楽も少ない。
メジャーまんが道【ボヨヨンロック】の2曲目収録の[ニコポン主義]と同じ。あちらは豪華なギターフィードバックによるカッコいいキメが入り、ブレイクで大槻が「おろろーん!」などと叫ぶが、空手バカボン版ではヘナヘナのオルガン演奏で、ブレイクではケラと大槻が掛け合いをする。
大槻「そうなんだろ?」
ケラ「あ、その、えっと…」
大槻「そうなんだろ?」
ケラ「うわー、バカボンさまには嘘がつけなーい!」
そして「よいやさのよいやさ」と叫びまくって終わる。その点はどちらも変わらない。
ハイテンポのニューウェイブ。メロディはやはり半音ブレの独特なもの。ヘナチョコリズムギターと猛烈リズムボックスがまぶしい。
みまちゃんはある日急にデブになってしまう。自分の醜さを嘆く。
お肉の固まり
するとそこに知らない男性がやってきて、「デブの楽園 南の島」にみまちゃんを誘う。みまちゃんは島の女王になる。
お肉の女王
加藤和彦作曲の日本の誇るフォークソングを、ズタズタに解体してしまった。超キャッチーなエレクトロポップ。でも、明らかに元曲をバカにしている。ケラの音程を無視したコーラス「あーーーアアァアァ」が面白い。
ヨボヨボのブルース系ヘタクソソング。大槻が明日死ぬ鉄砲弾の後ろ向きな意気込みをを歌う。設定は面白いが、音楽はつまらない。
孤島の檻《曲目》 寸劇「おばあちゃんを殺したでしょ」/孤島の鬼(くらいしか覚えていない)
これもシングルを33回転にするミニアルバム。ジャケットをアングラ漫画家(根本敬氏)が書いている。すんごく汚い。個人的に苦手。
音楽も汚い。私はつまらないと感じた。後に筋少が名演奏する孤島の鬼も、なんかヤワヤワだ。
(なお、理由は分からないが、アルバムタイトルは鬼ではなく檻。)
寸劇部分は、大槻が鼻歌まじりに街を歩いていると、犬山犬子がやってきて、「あんた、わたしのおばあちゃんを殺したでしょ!」「え、知らないっすよー」と戸惑う、を繰り返すもの。ちょっと悪趣味。
バカボンの頭脳革命《曲目》 バカボンと戦慄I−starless & バカボンblack/日本の米/家族の象徴/先天良い子/来るべき世界/7年殺し/屋根の上のネコとボク/労働者L/KEEP CHEEP TRICK/バカボンと戦慄II
LPです。ジャケットがかわいい女の子のイラスト。タイトルとのミスマッチがおかしい。
(注:言うまでもなく、アルバムタイトルはELPのモジリ。)
king crimsonのstarless & bible blackの替え歌^-^ 元曲を知っている人は面白いが、知らない人はそれまでだ。
筋少がメジャー時に取り上げるのと同じ曲。こちらはテクノポップ風。
寸劇付き。おじいちゃんが死にそうで、家族が遺言を求めると、「うまーい 米はやっぱり美味いなあ」と騒ぐ。ちなみに、メジャー版は「孫がおじいちゃんに小遣いをせびりにきたら、おじいちゃんは米がうまいとしか言わない」になっている。
ディーボ風テクノポップ。サザエさんのキャラクター名を連呼する。…だけかと思いきや、かなり破滅的な歌詞も挟まる。
カツオよ おまえは死になさい ねえさんの前で死になさい
タラオよ おまえは狂いなさい かあさんの前で狂いなさい
ペコペコのテクノポップ。あんまり印象に残らない。
YMOのライディーンの替え歌です。演奏はコピーに近い。
「テークーノー テクノライディーン」
人民服に着替えたか もみ上げはちゃんとそろえたか
ボイスコーダー シンセサイザー
かなり可笑しい。
コトバでは表現しにくいんだが、ミドルテンポのラテンビートに乗って、大槻とケラが叫ぶ・しゃべる。
「すべての脳髄を取り替えろ!」
「排便などオサルさんのすることだ!」
そのうえに、大人数コーラスによる《バカボン唱歌》が被さる。「バカーボーン バカボーン」(ミソーーミ ーーレド ミーーー ーーーー|ミソーミ ーーレド ラ↓ーーー ーーーー)。ちなみに、大人数コーラスは空手バカボンとしては異例なことだ。このバカボン唱歌が巣晴らしいんだが、コトバでは説明できない。
異様にハイテンポな曲。めずらしくケラがリードボーカルだ。バイオリンみたいな音も入る。歌いにくそうな不可思議なメロディ。
天気の良い日は屋根に登って歌を歌う
猫はボンゴを叩く
(余談:ボンゴを叩く猫=アタゴオルのヒデヨシ)
これも筋少がメジャー時に演奏するのと同じ。だたし、こちらはテクノ系で、かなりシニカル。
死んじゃったなら ただの肉
生きていても ただの肉だ働け 働け
バイオリン入りのカンペキなプログレです。四人囃子風。ミドルテンポのゆったりリズムに、リバーブがブカブカと掛かったシンセパッドで雰囲気を出す。バイオリンによるテーマがキれてます。
歌詞もイカシてます。
君が寂しいとき すぐに呼んどくれ
僕は青年落語家 わらかすぜ
ちょっと心臓の弱いバアサンなんかは
僕の川柳ひとつで そうさ笑い死ぬ
数珠を持つ間もないね はやく卒塔婆に名前を入れなそれでも冷えてる 僕は醒めている
凡庸なひとたちにいくら笑われても
「みろよあの小話その大歩危
やまだたかおに煎じて飲ませたい」
どうもありがとう でもね凡庸なひとびとよ
サビは、わななく声で
「笑っていろよ 笑っていろよ」
この「笑っていろよ」は、笑いを誘うものではなくて、いじめられっ子が復讐を誓う感じのソレです。
この後、大槻がポツリとつぶやきます。
まったくこんなことはやはく止めて 缶詰工場にでも就職したい
まんなかで、通常ならばギターソロなどがあるべきところで、なぜかケラと大槻による意味不明の叫び声が沢山入ります。実際には意味不明なのではなくて、笑点のネタを喋っているのですが… それがロングディレイによって3回ずつ、左右のPAN位置を変えながら飛んでいきます。かなり異様な世界です。
おしゃべりが終わると、それまで単調一辺倒だった音楽が急に長調になり、白玉ストリングスにのって大槻が悟った声で語ります。
さようなら さようなら
高座からみると あなたたちは
人の顔にぽっかりとあいた穴から出るにでられない 目玉のようです。さようなら
しかも目玉は二つもあるのです。
人の顔はひとつっきゃあないのに 目玉は二つもあるのです。まったく凡庸です
サヨウナラ
まったく見るに耐えない
そして後半では、夢にまで見た「缶詰工場の働く工員」になるのです。