ヨシゴイ
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滋賀県草津市の下物(おろしも)。琵琶湖の一角、かつて広大なアシ原が広がっていたその場所は、湖周道路建設により埋め立てられ、今ではハスが、アシに代わって湖面を埋め尽くしている。この広大なハス群落の中に、お目当てのヨシゴイが潜んでいる。 今日、1年ぶりにヨシゴイ探しに出掛けてきた。早起きが苦手なものだから、現地に到着したのはお昼前。ジリジリ照りつける太陽を、湖面を渡る風が幾分和らげてくれる。ハスの花は盛りを過ぎていたが、それでもまだ驚くほどの数が咲き競っていた。隣接する県立琵琶湖博物館の建設時、遊歩道が整備されたので、ハス群落の周辺は誰でも散歩することができる。家族連れや釣り客が日曜日の午後を楽しんでいた。 ヨシゴイはすぐに見つかった。遠くの方を、低く、頼りない飛び方で飛んでいる。パタパタパタと、まるでゼンマイ仕掛けのおもちゃ。他のサギに比べて随分小さいので、作り物みたいだ。左から右へ飛んでいったかと思うと、今度は右から左へ飛んでいく。そして、深いハスの葉の中に飛び込み、姿を消す。ハスの葉の中で何をしているのか、こちらからは何も見えない。 ここでのヨシゴイとの出会いはいつもこれだけ。パタパタ飛ぶ姿を見送るだけだ。写真なんて撮れたためしがないし、撮れるとも思っていない。でも、それでいい。いつもの鳥がお馴染みの場所で、今年も元気に飛んでいる。そのことを確かめるだけで安心する。 パタパタパタ・・・ヨシゴイが目の前をまた飛んだ。ハスの花咲く頃、来年も彼に会いに来るだろう。こちらが勝手に決めた面会の約束を、彼はきっと守ってくれるに違いない。 |
(1999/8/8) |