マルゲ刈りの思い出
ゲゲゲの鬼太郎にマルゲというのが出てくる。床屋が嫌いなのでとうとうマルゲ状態になってしまい、ついに観念して床屋に行った時のことである。あまりにも限界に近かったので2人客待ちがあったのに待ったのが失敗の元だった。おまけに良く見れば、仕掛かり中の一人はパーマをかけているではないか。うまく行けば5分で完了のところを20分も待った。後から来た人のうち一人が帰った。
いよいよ次は自分の番になった時、順番を抜かされた。よっぽど、"No, it's my tern"とでも言おうと思ったのだが、さらにもう一人が終わりかけているので、あえて何も言わなかった。が、これが大きな運命の分かれ目だった。
しげしげとマルゲ頭をみた理容師は言った、"Mary, never do this again. . . "。Maryとは私の順番を抜かした人である。しばらくして意味が分かった。Maryはこのマルゲ頭をみて、担当したくないと思い(時間がかかるから)、わざと抜かしたのである。うちに帰りたくなるのをじっと我慢する。
"Where did you cut before?"
"Here."
"Who?"
"I don't remember."
担当のおばさんは、わざわざ私の履歴表をチェックする。ふーん、と納得した様だった。前回は、もうちょっと切りたかったのだが、不意に鏡を見せられてこれでどうだ、と聞かれたので思わず、これでいいと言ってしまい、あまり短くできなかったのであった。それもあってマルゲ状態になったのだ。全く赤面の思いである。
おまけにどうも髪が揃っていないらしく、平成の大工事は困難を極めた。何せ、床屋では、"one inch off" と"hair cover ears a little" と "hair touch ears" しか知らないのでほとんど調整不能に近い、成り行き任せとなった。マルゲは限りなくかりあげ君に近づいた。
家に帰ったら、ミーは泣きながら逃げ回った。こういう時はたいてい失敗を意味する。