お引っ越し  



 アメリカでは子供の成長に合わせて引っ越しをするのが一般的である。この住宅街は比較的こぶりな家が並んでいるので、小さな子供を持つ人たちが多く住んでいる。

 つい最近、アリソンとエミリー一家が引っ越しをした。今までの家が手狭になった、というのが引っ越しの理由である。弟が生まれて一家5人になったのだから、手狭に感じてもおかしくはない。それにアリソンもエミリーもグングン大きくなっている。同じ学校区なので遊べなくなった訳じゃないけど、ちょっと寂しい。ジャシカも大きな家に引っ越した。ママが再婚する予定なのだ。「芝刈り小僧」(「日常の出来事」を参照ください)も引っ越した。そういえば去年、ベッキーの家でも引っ越し騒動があった。いきなりFOR SALEの看板が出たときにはびっくりしたけれど、なかなか買い手が見つからなかったのと(でも結構たくさん見学に来ていた。)買おうと思っていた家が売れてしまったので、引っ越し話はご破算になった。ベッキーもうちのがきんちょも大喜びだったけれど、両親はまだ諦めた訳ではなさそうだ。

 今度ローリーとクリステン一家が引っ越しをすることになった。パパが転勤になったのだ。7ー8年ごとにあるんだという。ここから車で2時間ほどの所だが、毎日遊んでいる彼女らがいなくなってしまうのはとても寂しい。

 今はいわば送る立場だけれど、いつの日か送られる立場になる日が来るはずである。この間ミセス・クインにあと1年の滞在予定は変わらないのか、なんとかしてもっといられないのか、と聞かれた。おとうの仕事の事は皆目見当がつかないので、「わからない」と答えた。答えながら、出来ることならもっといたい!と思っていた。「住めば都」とはよく言ったものだ。嫌なことがないわけじゃないけれど、それを吹き飛ばしてしまうくらいたくさん良い事があって、・・・・。

 ここにいてもたまには日本を訪れるチャンスがある。でも日本に戻ってしまったら、ここを訪れる事はまずないであろう。そう考えると最初は長く思えた3年があっというまに過ぎてしまうような気がする。たった3年で、せっかく出来た繋がりを切ってしまうのは虚しい。あたしゃまだ言いたいことの10%も言ってないのよ!

 補習校でも帰国する家族がなん組かあるけれど、皆、多少の心残りはあるにしても帰国するのを当然と考えているようである。私はどうだろうか?その時の事を考えると今から気が重い。もっとここにいたい。