「宿題大嫌い」のその後



 宿題をため込んでいたとかいう話になると決まって出てくるのがXXなのだが、そういう不名誉なことで何度も名が出てはかわいそうなので、今回は名前を伏せておこうと思う。

 XXは日本語補習校を風邪と誕生会のお呼ばれで2週間休んでしまった。もちろん宿題をためてくれるな、すませてから遊んでくれ、と言い続けた。なのに、またしても母を無視したのだ。無視されたのが気に入らないわけじゃない。どんなにため込んだって、金曜の夜にガーンとやって出来るならそれで良いのだ。でも、出来ないこと、知らないことばかり。一晩じゃ到底説明出来ない。

 本人も宿題をみて、焦り出したようだ。こういう時、焦れば焦るほど頭は回らなくなる。本人も、それからとうとう堪忍袋の緒が切れた母もパニックだ。悲鳴や罵声が入り交じる。こういうのを修羅場って言うのかしら?わからなくて空白だらけの問題集を前に、言い聞かせ、そして脅し、本人も今度こそわかってくれたと思ったのに・・・。まさかその2日後の夜9時を過ぎて宿題を始めるとは誰が考えたろうか?

 今度はESLの宿題だった。そして悪いことに算数の文章問題がどっさり英語で書かれていたのだった。英語が出来るかどうかは関係なかった。半年ほど前に目をつり上げて教えたはずの「時刻と時間の違い」「時計の針の見方」なんてえのから教えなければいけない。どうして、こうなるのよ!あんたはいったいどーゆーつもりなの?最後に母はぷっつんしてしまった。「あんたは今日から1週間お遊び禁止!わかったね!」

 以前、テレビで「子殺し」や「幼児虐待」をリポートしていた。おとうがそれをみて、「お前はよく我慢してるなあ。」と言ってくれたっけ。いくらぷっつんしていても彼女を痛めつけてしまえなどとは思わない自分を「さすが偉大な母!」とほめたい気分である。よし!1週間、みっちり鍛えてやろう!と思っていると、涙を洗ってきたXXが神妙な面持ちで「お母さん、教えてくれてありがとう」と言った。こういうのって、ぷっつんした後は胸にぐさっと来るのよね。あたしゃ、好きで怒ってるわけじゃないのよー!