ジャスパーが来た!
ぽぽこは掘って逃げるだけでなく、フェンスを登っても逃げるようになった。「そんなに出て行きたいのなら行かせりゃ良い!」とおとうは言うけれど、雑種のぽぽこに我が家以上の家が見つかる保証はない。私たちにとっても、ぽぽこはもう家族の一員なのだ。しかたなく、終日長めのリーシュにつないでいる。
ぽぽこが自由になれるのは、がきんちょがバックヤードで遊んでいる時だけである。しかもその時だって、がきんちょが引っ張り回したり、かけっこを強要したりするから、犬でいるってことも大変なんだなーと同情してしまう。
昨日、がきんちょは例によって遊びほうけていた。食事になると言うのになかなか家に入らない。台所から見ると、れれれ?ジャスパーだ。お隣の犬がどうしてここへ?ベッキーが連れてきたの?それにしちゃがきんちょの慌て方が大げさすぎる。ベッキーも見当たらない。急いでバックヤードに出た。かおが目をドングリのようにして言った。「勝手に入っちゃ駄目でしょ!」言葉と裏腹ににこにこしてジャスパーを捕まえようとする。ちーが「ベッキーに電話する!」と家に入る。みーはジャスパーに飛びかかられるのを恐れてデッキに逃げる。のんはブランコセットにクギづけ。ぽぽこと一緒になって走り回るジャスパーをかおがやっと捕まえた。私はぽぽこをリーシュに繋ぐ。
ジャスパーにもリーシュをつけ、慌てて出てきたベッキーに渡す。ベッキーのお父さんも出てきて、ジャスパーがくぐりぬけたところに角材を置く。こちら側にはでかいブロックを置いた。これで大丈夫かな?
「びっくりしたネー!」ベッキーとちょっと立ち話。「ぽぽことジャスパー、けんかしなかったよ!」とちー。「いつか本当に一緒に遊べるといいね!」とベッキー。ぽぽこにとって、つかの間のデートは楽しかったのだろうか?日本にいるとき私は犬があまり好きではなかった。吠えてうるさいし、かみつくし。でも最近は違う。ここいらではたとえ吠える犬であってもかみつかないし、慣れればほえなくなる。とてもかわいい。昨日ジャスパーが来たのを一番喜んだのは、ぽぽこよりもかおよりも私自身かもしれない。またおいでね、ジャスパー!