亭主元気で留守がいい! アメリカじゃ理解出来ない理屈だけど
おとうが日本に出張になった。出張先のカリフォルニアでインフルエンザにかかってダウンしたのは去年の今ごろである。日本にいたときもこの時期は出張することが多かった。2月10日のかおの誕生日に父親がいないことも1度ではなかった。日本は11日が祝日だから、父親のいない誕生日には夜遅くまで、友達に来てもらっていたっけ。
「治安の良いところとはいえ、俺が留守になることは言わないように」と言ってでかけたおとうであるが、私は学校でいろんな人から「ミスター・サイトウは今日本ですって!?」と声をかけられた。PTAに行ったときもその話があちこちで出たから、おとうの出張は広く知れ渡ることとなってしまった。
「子供の世話や家事をみんな一人でしなければいけないの?大変ね!」これがほとんどすべての人の第一声であった。おとうのいない生活をそれなりに楽しんでいた私はちょっとびっくりしてしまった。適当に相槌をうっておいたけれど、ミセス・クインとミセス・スミスには本当のことを言ってしまった。「うちのとーちゃんは子供の世話をするわけじゃないし、家事なんて絶対手伝わないもん!」
おとうがいなくて楽なことは確かにある。散らかすヤツが一人へる訳だし、「あれを取れ!」「茶をくれ!」と私の用を中断してまでさせられることが減るのだ。洗濯物もちょっとだけれど少なくなるし、食器を洗うのも(食器洗い器は1年ぶりにおとうが直してくれたのもつかの間、また壊れてしまった)ちょっぴり楽。「亭主元気で留守がいい」って本当だと思う。おとうと電話で毎日話が出来る(我が家から日本への国際電話は今、1分39セント!)。E-mailだってある。離れているときの方が面と向かっているときより相手に対しての気遣いだって深くなる。おまけに帰ってくるときはお土産どっさり、だ。
そうそう、結局2週間くらいの出張だからいいのよね。これが半年だとか1年だとかの単身赴任だったら、こんなのんきなこと言ってられないはずだ。2週間で帰ってくるってわかっているから、羽ものびるのだ。がきんちょが言った。「とんちゃんが帰ってきたら、お母さんハグする?」うーーん、アメリカ滞在1年7ヵ月じゃ、そこまで行ってないかもね。