バースデイプレゼント  たまには手作りもいいでしょ?



 ちーが3年生だった時、その最後の日にクラスでアイスクリームパーティーが開かれた。私はその手伝いに行ったのだが、そこでジャサレンのお母さんに声をかけられた。「今度の日曜日にジャサレンのパーティーを開くのよ。今日ちーに招待状を渡したけれど、こられるかしら?プールとピザでパーティーをするの。」ちーの誕生日パーティーをスケート場でしたばかりで、彼女はそれにも触れ、「パーティー続きになっちゃうけれど」と言った。だから、私もちーもジャサレンのバースデイパーティーだ、と思い込んでいたのだった。

 その日曜日にプレゼントを持って行くと、誕生日パーティーではなく、プール開きのパーティーだった。一緒に招待されたディナも勘違いしていたから、私の言葉の問題だけではないかも知れない。実のところ、ジャサレンのお母さんは南米出身で、母国語はスペイン語なのだ。「今でも時々英語が嫌になって、スペイン語で思いっきり喋りたくなるのよ」と言っていた。

 昨日、ちーはジャサレンから招待状をもらってきた。今度こそバースデイパーティーだった。ジャサレンはプレゼントの希望をちーに伝えた。ちーの持っている弁当袋と箸入れが欲しいんだそうだ。ここでは、ジュースを持ってくる子が多いからか、ランチボックスは保温のきくものが主流だ。でも、ちーは彼女が幼稚園のときに使っていた布の袋をいまだに愛用しているのである。裁縫の苦手な母が苦労して作ったもので、ハッキリ言って、出来は良くない。ちーは「母が作った」というだけで喜んで使ってくれているのだ。(子供ってありがたいね)それをジャサレンも気にいったって?しゃーない、作ってあげよう!

 去年の夏、がきんちょにサンドレスでも作ってやろうと買っておいた布を出す。(「作れやしないんだから買うなって」という声を無視して買ったのだ。)コバルトブルーの地にカラフルな蝶々が飛んでいる。弁当袋には薄すぎるので、朱色の裏をつける。2枚重ねるときは必ず水通しをしないといけない。ランチマットで懲りた経験がある。せっかくあでやかな裏地だから、ひもで口を閉めたときに見えるようにしよう。ちーの箸入れは幼稚園児が使いやすいようにマジックテープを使ったけれど、今度は10才の子なのだから、スナップがいいだろう。買い置きの塗り箸がある。おまけにランチマットもつけちゃおう!

 学校から帰ってきたちーが言った。「ジャサレンは蝶々が大好きなのよ!ありがとう!」みーが言った。「みーもんのは?」うっかりしていたけれど、4月からみーは補習校へ行くのだった。弁当を持って。「ライオンキングかプーさんのを買おうか?」母の提案は受け入れてもらえた。良かった!だって、当分裁縫をする気力は出ないもん。ちーはチョコチップクッキーを焼いて弁当袋に入れてプレゼントするそうな。喜んでもらえるとイイネ。