姉妹喧嘩 親の出る幕はない、ような



 ある日、テイラーが父親の自転車に乗って遊びに来た。もちろん高いサドルにはすわれない。昔は子供用の自転車なんてなかなか買ってもらえなくて、親の自転車に三角乗りをしていた子がいたなー、と懐かしくなった。のんもテイラーのパパの自転車に乗れた。次に、のんはバックヤードからちーの自転車を持ち出してきた。

 のんは何でも自分で練習して出来るようになってしまう。ローラースケートも今は家族で一番うまい。そもそもトイレットトレーニングだって、母が始めないうちに終わっていたのだから。

 ちーが学校から返って来たとき、のんはちーの自転車をじょうずに乗っていた。ちーは「なんでちっちがのんの自転車に乗るのよ!」と言った。「違うでしょ!のんがちーの自転車でしょ?」と私は訂正した。最近こういう間違いが、ちーにかぎらずやたらに多いのだ。「そう言った!」ちーは傷が付いてるの、汚れているのと文句を言いながら、奪うように自転車を押していった。

 このちーの反応はのんにとっても私にとっても以外だった。いつもなら文句を言いはしても「大事に使ってよ!」と貸してくれるのに・・・・。

 ちーはベッドで泣いていた。それを見てのんも大泣きしてしまった。こういうのって、苦手なのよね、私は。ちーは言った。「ちっちがお願いして、ずーっとお願いして、お父さんがやっと、やっと、やーっと買ってくれたのに・・・・。もう当分買ってなんか貰えないんだから!かおも乗らないでって言ってるのに勝手に乗るし、のんのんまで乗るなんて!」おとうが「買ってやる」と言ってから、ナンダカンダで2年近く待たせたのが相当響いている。ちーの言い分を一通り聞いて、のんもちゃんと謝った。ちーは「ちっちの自転車を使うのなら、ちっちがいるとき、使っていいよって言ったときだけにしてね。」と言った。いつものちーに戻ったようだ。この間40分あまり。私はそばにいただけだったのだけれど、ああ、くたびれた!

 「おやつにしよう!」私がかおを呼ぼうとバックヤードを見ると・・・。かおはブックバッグを背負ったまま、テイラーと泥んこ遊びをしている。みーは???みーは泥だらけの手で、もうおやつを食べている。世の親達が子供の数を二人くらいにしているのは正しい選択かも知れない。うちのがきんちょなんて、目が届かなくって、このとおり「放し飼い」状態ナノよ!