頭が回らないの?
ディズニーワールドから帰って、とたんに忙しくなった。もちろん引越がらみである。ぼやきたいものの、ぼやくヒマすらない。忙しくしている割りにあちこちと手を広げざるをえないため、用が済まない。
For saleの2台の車を洗うのも最近は私の仕事になっており、時間も体力も取られるのである。直射日光の下ではワックスを使うなと書いてあるので、夕方日が西に傾いて家の東側が日陰になる頃から、ワックスがけに勤しむことになる。そうなると夕飯の支度が割を食うことになる。たとえばお好み焼きなら、野菜を刻んでおけばガキンチョが作ってくれるのだが(彼等の作る特製ソースはケッコウ旨い)、そうそうお好み焼きばかりもしていられない。で、この間は「たまにはピザでもとるか」ということになった。幸いその日、クーポンが手に入っていたので、ドミノピザに電話をした。
ドミノピザに行ってみたことがあるからわかるのだが、電話を受ける専任の人がいるわけではなく、みな生地を伸ばしたりトッピングを乗せたりしながらヘッドフォンタイプの電話を受けている。中には聖徳太子ばりに同時にそつなくこなせる人もいるけれど、どっちかが、あるいはどちらもおろそかになってしまうヤツもいるのだ。このあいだ私の電話を受けたのは、その後者だったんだと思う。まず、間が長い。聞いているんだか、聞いてないんだか不安になる。途中でハロー?と何度も聞かねばならなかった。住所を聞き取ってもらえなくて困った。何度、どんな風にいってもMとNの区別がつかない。小学校の名前を言ってその近くだと説明しても近くの大きな通りの名前を言っても聞いてるのか聞いてないのか、はっきり反応が返ってこない。おちょくられているのかとも思ったが、それにしてはボケ方が堂にいりすぎている。「ねえ、わかった?大丈夫?配達できる?」と聞くとだいぶ間があいてからYearと間延びした返事が返ってくるのだ。
電話をおいてから彼がクラストを何にするか尋ねなかったことに気がついた。トッピングは言ったんだけど。電話から40分近くして彼がピザを持ってやってきた。ピザのクラストはディープディッシュといわれるもので、通常これはほかのクラストより高い値がつけられているはずである。クーポンにもそう書いてある。彼は普通のクラストの値段を受け取ってにっこり笑って帰った。
まあ、私の発音にもモンダイはあるんだし、彼のオトボケぶりに大笑いできたし、ちゃんとピザは届いたのだ。めでたしめでたし、と言う事にしておこう。それにしても、頭は使わなきゃいかんぞと注意したくなるヤツなのだった。