初めてのヤードセール



 ヤードセールは土曜の午前中と相場が決まっている。しかも7時とか遅くとも7時半には始まるのだ。補習校が日曜日に振り替えられる日をヤードセール決行の日と決めたはよかったのだが、気がかりなのは天気。大掛かりなムービングセールの場合はあらかじめ新聞に広告を出しておかなければいけないだろうが、今回は小手調べというようなモンである。YARD SALEのサインを学校前の道路に出すだけにした。1週間前から天気予報には気をつけていた。火曜日の段階では「木曜日に雨が降るものの土曜日は晴れ」ということだった。水曜日になると「木曜の雨は金曜日の朝までぱらつくかもしれない」となり、木曜日には「金曜日の昼頃には上がるだろう」となった。実際、金曜日になると土砂降りの雨が降り続き、「低気圧の進み方が遅くなってしまった」というアナウンスを裏付けていた。金曜日の夜の天気予報は「雨は明日にはあがっているだろう。しかし風がつよく、突風に気をつけるように」という事だった。

 当日、私は5時に起きた。外に出てみる。風がやや強いが、道路は乾いている。この分だと決行という事になるだろう。朝食の用意をして、みんなを6時半に起こす。おとうはYARD SALEのサインをつける金具を道路に埋め込んできた。本当は水曜日の昼休みにサインを出したかったのだが、雨にたたられて当日だけになったのだ。車を芝の上に動かす。卓球台をカーポートに出し、テーブルクロスをかけ、風で飛ばないようにセロテープで止める。品物を並び始めている間におとうが金具にサインを止めに行った。サインは学校前の通りの両側に一つずつ、家の前にもう一つの計3つ。学校前の道路は通る車も無く、静かだ。寒い。

 我が家から1マイルほどのところに大きなフリーマーケットがある。それと競合するといっては面映いのだが、今回はあくまで小手調べ。売り上げより「観察」が大事なのだ。で、わかった事は、「必需品」しか売れないということ。そして客筋は大きく分けて2つであったということ。新聞のParson to Parson欄にも「趣味はフリーマーケット」というような表現があるほどの土地柄(ってえのがありますか?)なので、見るからに「その道のプロ」という人も来た。彼等は確かにそこいらでは売っていないもの、和食器とか暖簾とか…、そういうものを見つけては手にとって見ていたが、値段を見て身震いして帰っていった。品物を手に取るときもけっこう雑である。そーゆー人には売りたくないので、値段を高めにつけておいたのは正解だったと思う。もう一方の客筋に属する人たちは、挨拶も朗らかで手に取るのもそっとやさしく丁寧。(そーゆー人には値引きしてもよいと思う。)

 韓国食料品店では和食器も売られている。それらは、さほど高級なものではないにもかかわらず高価だ。我が家で売ろうとした食器が、ヤードセールとしては高価すぎるのは事実だが、それだけの価値のあるものではある。見る人が見ればわかるんだろうけれど、そういう人に高く売ったほうがよいか、お世話になった人にあげたほうがよいか。これはあくまでもその人が喜んでくれるかどうかにかかっているわけである。(私は売るのをやめて、あげてしまおうかと思っている。)

 とにかく、この日、古いスーツケースやクーラーボックス、キャンプなんぞで使うシェードが売れた。真冬並みの寒さの中、風邪もひかなかったし、大きいものがはけてうれしかったという事にしておこう。