予防注射;怒ったぞ!



 サウスカロライナでは、7年生になるときにB型肝炎の予防注射を3回受けている事が義務付けられている。きちんと書類が提出されないと登校禁止となる。本当である。B型肝炎の予防注射は1992年1月生まれ以降、出生時とその後1才半までに3回受ける事になっている。93年生まれのミーはすでに3回すべてを終えているのだが、チーは87年生まれなので、ここで7年生になるためには注射を受けなければならない。過半数の生徒は、すでにかかりつけの医者で接種しているのだが、学校での集団接種の案内が送られたのは去年の秋の事だった。ビザが6月いっぱいで切れるのは知っていたが、もし万が一ということを期待して、チーは接種することにしたのだった。

 日本ではMMRの事故が多発した事がきっかけで集団接種はなくなったと聞いている。接種の日には、体温を計り、問診と診察があるのが日本の常識だが、ここでは、少なくともガキンチョが行った保健所に当たるところでは、そういったことは一切ない。「普段と変わった事はないか?」てな質問も皆無であった。どんな副作用が出たときに医者に行くべきかを言われ、接種後は思いきり遊ぶように言われるのだ。これも接種当日はなるべく静かにするように言われていた日本と比べると眩暈を感じるほど驚く事である。さらに、予防注射というものに対する感覚の違いが決定的だと思い知らされる事実が待ちうけていたのだった。

 チーは去年の12月に1回目の接種を受けた。その1ヶ月ほど前に接種をする旨の書類にサインをして提出していた。1回目ということもあって、先生方も覚えており前日に接種の話題が出たので、チーも私も忘れなかった。が、2回目は誰もがすっかり忘れていた。チーを迎えに行って「痛かったよー!」という情けない報告で注射を受けた事を知った。風邪なぞひいていなくてよかったものだと、ほっとしたのだが、3回目はもっとひどい経過をたどった。どんな手違いがあったのか知らないけれど、なんと、予定より1ヶ月も早く受けさせられたのだ。もちろん事前に予告はなかった。なにしろ先生方もスクール・ナースも予期しない事だったのだから。

 保健所のナースが日を間違えたと言うのだが、だったら出直してくりゃいいでしょうが!「しょーがないわねえ」なんて言って、勝手に注射しないでちょーだい!何かあったら誰が責任とってくれるのよー!私がここでわめいても、チーはもう注射しちゃったのよ!!!

 なんでもかんでも裁判に持ち込む国である。長年の喫煙の習慣を棚に上げて、肺がんにかかった人がタバコ会社を訴えて50億円だかをぶんどったという話があったけど、「いざとなったら裁判があるさ」なんてえこと考えて、注射しているんじゃないでしょうねえ?いくらのんきな土地柄といっても、こーゆーのはほとほと困ってしまう。あたしゃ、ホント怒ってるのよー!