カルシウム不足
日本人にとって一日に必要とされる栄養素の中でもっとも不足しているのはカルシウムであるという。私たちが日本にいるとき、カルシウムは乳製品だけでなく、小魚や小松菜などの野菜から必要量をなんとか確保できていたと思う。ところが、アメリカに来てからというもの、「小魚せんべい」がおやつに食べられるわけではないし、新鮮な煮干とて手に入りにくい。さらに、日本で食品に気を使って子育てしてきた成果であるといえば誇らしいに違いないが、ガキンチョは牛乳の味にうるさく、日本にいたときに比べて飲む量が減ってしまった。これはまずいぞ!と常々思っていたのだ。
先々週の新聞に、最近アメリカ人のカルシウムの摂取量が減ってきたという記事が載っていた。何日かして「骨ソショウ症」についての特集が目についた。
Osteoporosisというのだが、私の持っている辞書には載っていないので、これを「骨ソショウ症」と訳していいものか、断言できないんだけれど(医学関係の単語は辞書に載っていないものが多く、本当に困ってしまう)、アメリカの子供たちの骨が弱くなっていると感じていた矢先なのでやはりそうだったかと暗い気持ちになってしまった。なぜ、カルシウムの摂取量が減ってきたかというと、食生活の変化が一番の原因らしい。だいいち、野菜を食べない(食べてもジャガイモとトウモロコシさ)ソフトドリンクばかりを飲んでミルクを飲まなくなってしまった。追い討ちをかけるように運動不足。
ガキンチョのお迎えに行くと、必ず一人や二人松葉杖をついたり、腕にギブスをしている子供を見かける。中には「器械体操を練習中に」という子もいるが、「遊んでいて転んだ」というのが多いのだ。彼らの食生活の貧しさ(お金がないという意味じゃなく、内容がお粗末という意味よ)は、これまでも何度かふれてきたが、ようやくジャーナリズムも取り上げざるを得ないほど深刻になったということか。
新聞に出ている事。まず、「骨ソショウ症」は予防できるし、治せる病気である。なにより大事なのはバランスのとれた食事。適度な運動(これは骨に重量の負荷をかけるものでなくてはならない。ぽっちゃりしているのは、骨にとってはよい運動になってるだなんて、ありがたいようなありがたくないような)。喫煙と過度のアルコールを避ける事など。栄養としてカルシウムは一日1300mg必要で、プレーンヨーグルト1カップに含まれるカルシウムは415mg、スキムミルク(302mg)、カルシウム入りオレンジジュース(300mg)、カルシウム入りシリアル(300mg)をとれば目標をクリアするという。野菜にもカルシウムは含まれているが、たとえば熱を加えたブロッコリーハーフカップに含まれるカルシウムはたった65mgだそうな。ハーフカップのブロッコリーってどのくらいの量なんだか、いまいちピンとこないけれど。
さて、我がガキンチョの話に戻るが、アメリカに来て「飲むに耐える」牛乳は2種類に限られていた。しかも紙パック入りのものでなければいけないという。牛乳は臭いのつきやすいものである。プラスティック・ボトルのものは容器の臭いが移ってしまうのでまずいんだそうな。紙パックは1クォート(946ml)のものしかなかったのだが、それすら数ヶ月前から姿を消してしまったのである。私の知っている限り4つのメーカーがプラスティックに移行してしまった。理由はわからない。(英語だから聞いてみるわけにもいかない、というのが悔しい!)紙パックで買えるのは、乳糖を分解してあるもの、超高温長時間殺菌のもの、その他いわゆる乳飲料や加工乳とよばれるもの、ヤギの乳などしかない。
で、我がガキンチョたちはさらに牛乳を飲まなくなってしまった。一番小さな1クォート入りのものをこまめに買って、プラスティック臭が移らないうちに飲みきるようにし、せっせとヨーグルトをデザートに出すようにしているのだけれど、これじゃあカルシウム不足が深刻になるばかりよ。困ったなあ。