読書
読書はかつて私の趣味の一つであった。子供がゾロゾロ生まれてからは、とにかく自分の好みの本を読むひまもなく、さらにアメリカで暮らすようになると日本語の本が手に入らない(買えば買えるけど高いのよ!)こともあって、読書が趣味とはいえない生活を送っている。補習校では小学生以上の子供たちが毎週一冊ずつ本を借りられる事になっており、我がガキンチョも3人が日本語の本を借りてくる。で、「ドラえもん」だの「伝記シリーズ」だの「マンガで読むシリーズ」といったものが、最近の私の愛読書なのだった。
去年の夏、ミス・ケイの宿題で英語の本を読まなければならなかった。ペーパーバックで厚さが4センチほどもある。見ただけで卒倒しそうだったのだが、読み始めて本当に卒倒するんじゃないかと何度も思った。ミス・ケイが時折登場人物を整理して解説してくれて、確か2ヶ月以上を費やして読み終えたのだった。ちなみにその本はJohn Grishamという作家の作品でThe Partnerという。日本語訳が去年の末あたりに出たはずである。彼の作品の多くは映画化されており、A Time To Kill とかThe Rainmakerという題に見覚えのある人は多かろう。彼の作品は「また」とか「これでもか」というほどに弁護士の話で、The Partnerは潜水艦のプロジェクトにまつわる事件が描かれていた。なにしろ不得意もいいところの英語なので、面白いと感じるゆとりも(実力も)、本当のところ読みたいという意欲も沸かないままだったのである。
しかし、主婦根性というか、Wal-Martで彼の新作のペーパーバックが25%引きで売られているのを見て、つい買ってしまったのだった。もちろん、定価だったら買わなかった!これは断言してよい。日本では本は流通の仕組みからして値引きするのが難しいものの一つで、本が大好きだった頃は定価でしか買えないのを恨めしく思っていたものである。アメリカでは本は平均所得から考えると高価なものである。だから、買う場合は少しでも安いところを探して買うのが普通である。今回も25%より安いところがあったかもしれない。そう思うと「本棚のコヤシ」にしているうちにもっと安く売られているのを見るのは癪である。だからなるべく早いうちに読まなくてはと考えていた。
ミーの誕生日が無事に過ぎてほっとした日、その本The Street Lawyerを読み始めた。首都ワシントンを舞台にしたホームレスにまつわる話である。もちろん主人公は弁護士。読み始めるともちろん知らない単語がゾロゾロ出てくる。ミス・ケイに言われたのだが、「辞書は使わずに前後の文から想像して読み進めていく」というのが外国語で本を読むときの心得なんだそうな。よほどの事がない限り、辞書は使わないようにした。で、それがどうしたことか面白いのよ。ハラハラ、ドキドキ。映画を見ているようにイメージが沸いてくる。英語の本でこういう体験は初めてだった。もちろん英語の実力が急に上がるわけはないでしょ!英語だから作品の出来自体を云々する事はできないけれど、彼の文体に慣れたからか、題材が生活に密着したものだったからか、まあ、その両方かもしれない。結局足かけ3日で452ページの作品を読み終えてしまったのだ。このあと、分からなかった単語を調べれば本当は完璧なんだろうけれど、きっとしないよね、怠惰な私の事だから。
しばらくしたら、また英語の本に挑戦してみよう。なんだか、病み付きになりそう!むふふ。