Shooting Stars
獅子座の流星群は、いろいろな条件から日本が観測に最適であるといわれていた。星好きのおとうはそれを少なからず妬ましく思っていたようである。流星雨が期待されていた16日の夜、こちらはどしゃ降りの雨が降っていて、おとうも私もがっかりして床に就いた。
普段、起こしてもなかなか起きないおとうなのだが、この日は零時半ころ自分で起きだし、外に出ていった。「雨が降ってるかもよ」と妻は布団から声をかけ、そのまままた眠ってしまった。しばらくしておとうが動き回る音で目を覚ました。「晴れてるぞ。見えるぞ!」おとうは言った。外に出てみると、晴れているというより雲の隙間から少し星が覗く程度で、霧もかかっている。流星が流れてくるはずの中心点はすっかり雲に覆われている。でも、見えた!流れは速いのだが、その明るさのためしばらく尾を引いた様に軌跡が残るので、願い事をするにはもってこいの流れ星!「なんてきれいなんだろう。この世のどんな宝石にもかないっこない!」本気でそう思った。もっとも普段から宝石には興味がないのだけれど。17日午前2時半頃だった。その後、雲がどんどん増え、霧も深くなったが、時折その雲の奥で星が流れる。それもまた幻想的で美しい。
私はそれからまた一眠りしたのだけれど、おとうはそのまま何枚か写真を撮ったりしていたようだ。2時間程度の睡眠で会社へでていくおとうなんていうのは、普段からは考えられない。「普段からこのくらい仕事に打ち込んでいれば、出世したかもしれねえなあ。」とおとうは言った。そりゃあ出世はしたかもしれないけれど、今ごろ突然死してたかもよ。そこまでいかなくとも、きっとボロボロになっちゃってたよ。
夕方6時のTV−JAPANのニュースが、流星群は期待されていたほどではなかったことを伝えた。規模自体が小さかっただけでなく、ピークがそれまで考えられていたより8時間ほど早かったということも一因らしい。つまり、東部標準時間でいう16日の夜11時頃がピークだったということか?おとうがカメラを取りに行くのも、最愛の妻(誰だ?)を起こすのも忘れて見とれていたのがピークに近かったのだ。おとうはニンマリと笑った。
17日夜から18日未明にかけてはよく晴れた。流星は前の晩ほどの輝きはなかったけれど、時折姿を見せた。獅子座流星群のではない流星を2つも見てしまった!ガキンチョとの約束通り、5時半に声をかけて防寒服を着せる。椅子を4客外にだし、子供たちを座らせ、その上から毛布をかける。正味15分ほどであったが、ガキンチョはshooting starsを見ることができた。カオは2つの人工衛星を含めて5つも見たと大喜び。どんな願い事をしたんだろう?それとも見とれて、お願いするの忘れちゃったかな?