犯罪の多い州
アメリカでは銃を持つことが認められているし人種差別や貧富の差もあり、犯罪は日本よりかなり多い。これはたいていの日本人が考えていることである。アメリカに住む多くの日本人は、比較的治安の良い地域に住んでいるし、広大な土地と物の安さ(品質の違いもあるからあえて物価とは言わないことにしよう)などから、アメリカは住みやすくて良い国だと考えているであろう。確かに、子供の教育が考えていたより厳しいことはがっかりだけれど、それ以外は本当に快適な生活をしている。言葉のモンダイは実はものすごくあるんだけれど、それを差し引いても、住みやすいと私は思っている。
日本からアメリカへ来る際、やはり一番気になったのは治安であった。少しでもリスクを減らすため、現地の人が行かない方がいいという地域へは車で通ることもしないとか、羽振りがよさそうな振る舞いはしないとか、目立たないように気を配るとか、おとうは現金を必ず二つに分け、いざという時さっと渡して難を逃れられるようにしたり、とにかく気をつけている。(もっとも現金はあまり持ち歩かない。)
実際のところ、目立たないようにというのは難しい。ガキンチョの学校で日本人は我がファミリーだけだし、東洋人も他に2家族だけだ。去年スペイン語の先生から教育テレビにウチのガキンチョを出演させないかという話をいただいたが、不特定多数の目に触れるテレビ出演は残念だがお断りした。
私はホームページにも何度か書いたように、ウォーキングを楽しんでいた。気持ちはいいし、体も軽くなるし(そう思うだけかも)、今でも細々と続いてはいるのだけれど、コースを変えることになった。まず、学校で知らない人たちからもたくさん「ウォーキングしてるでしょ?見たわよ!」と声をかけられたのが理由のひとつである。知り合いが増えるというのは考えようによっては良い事かもしれないが、あまりにも多くの人に一方的に知られるのはよくない。目立たないようにという鉄則に反する。そしてもうひとつ。
ある日、いつものようにポポコを連れてウォーキングにいった。折り返してほどなく、シュッという音が私の右後ろから左前に走ったのである。ポポコは驚いて飛び上がった。カナブンのような虫だったかもしれないが、エアガンの様なものだったという可能性もないわけではない。そのときは車も通っていなかった。音のした方には家があったが、窓はどれも閉っていた。真相がわからないので、なんともはっきりしない話ではある。でも、コースを変えるには十分な理由となった。
サウスカロライナはアメリカの中で最悪の犯罪件数を誇る州のひとつである。大学入学の際、評価に使われるSATというテストの点数もたいていワースト1であるが、犯罪に関してもワーストなのだ。ニューヨークは近年、清潔で安全な街になってきたと聞く。警官の数を増やし、町の清掃を徹底するなどの努力によるものだそうな。サウスカロライナも行政の思い切った対応が必要であろう。治安、つまり犯罪が多いのは貧困層の居住地域なのである。経済対策を考える上で、外国資本の企業が重要な産業のひとつであるサウスカロライナでは、この世界的な不況の影響をどのように食い止めるかということが大きな問題であろう。
先だって、現職の知事がガキンチョの学校にやってきた。学校のテレビで子供たちの代表の質問に答えたり、教室を回ったり。それからしばらくして、カオは「20人以上の大人にどちらの知事候補に投票する予定かアンケートを取ってグラフを作る」という宿題を持ってきた。彼女の調べた結果では現職が苦戦していたが、実際はどうなるのだろう。中間選挙は明日投票される。