目指せ!売れるケーキ
今年もホットドッグ・サパーの季節がやってきた。学校のPTAの主催でカフェテリアで行われる。例年、私はカップケーキかクッキーを焼いて寄付していた。今年はもうちょっと手を出すことになった。
ホットドッグ・サパーではその名の通り、ホットドッグがメインである。ホットドッグ(チリ、ケチャップとマスタードは好みでつけてくれる)、ポテトチップ、ソフトドリンクのセットが2ドル。会場にはJSN ( Just Say No Club )がゲーム・コーナー、フェイス・ペインティング、ベーク・セールなどを受け持つ。今年、私はまず、JSNのメンバーの母ということで、手伝いを頼まれた。で、自分のケーキの売れ具合が分かるベーク・セールをすることにした。チーもカオも「ケーキのお店やさんしたい!!!」と大乗り気である。
次に、クラスマザーにポテトチップの寄付を頼んでいるという電話を受け取った。ラージを2袋。早速グローサリーへ行ってラージのポテトチップを探した。ポテトチップは1袋6オンス(170.1g)というのが普通である。それより大きい袋は14オンスというのがあった。さらにどでかい21 1/2オンスというのがある。これは、1 lb. 5 1/2 ozであり、609.5 gなのだ。しかしながらどれも半端な数字である。何を考えてこんな半端な容量にしたのだろう?計量するのも大変なんじゃないかなあ。私はその場で考え込んでしまった。そーゆーくだらないことに時間を使っているから、進歩がないんだというおとうの声が聞こえてきそうなので、とにかくそのどでかい、半端な容量のを2つ買っていくことにした。
ホットドッグ・サパーの前日に、カップケーキを焼く。ガキンチョに「見かけより健康に良い、良心的な味のケーキにするか、とにかく見かけがド派手で売れそうなケーキにするか。」とアンケートをとったら、全員一致で「売れそうなの!」ということだったので、見かけにこだわることにした。グローサリーにカラフルなフロスティングが売られている。それを使えばよい。そう思っていたのだが、実験の結果、フロスティングは時間がたつとベッチョリして、トッピングが流れてしまいそう。「こりゃ、駄目だな。」おとうも言う。「アイシングにすればいいんじゃない?」「そうそう、アメリカの人が好きなのは、チューブのアイシング」だが、いくらなんでもあれはひどい。甘さはもちろん色がものすごい。あれを口に入れる人の気が知れない。あのアイシングだけは使いたくない。で、ホワイトチョコレートとミックススプレーを使うことにした。
やはり売れればいいというものではない。私の良心の範囲で「売れるケーキ」をめざそう!で、カップケーキはココア味。ホワイトチョコを溶かして上にかけ、てっぺんにキスチョコかハグス(キスチョコと同じ形で、ホワイトチョコとチョコレートの渦巻き)を置き、そのまわりを小さなキスチョコでぐるっと囲む。仕上げはスプレー。これで、甘いもの好きなアメリカ人にも合格点を貰えるかも…。30個ほど作って並べたところでガキンチョが「私達のおやつ、これでいい?」と、余った、まだ飾り付けをしていないカップケーキを指差して言った。好きにしなはれ。ガキンチョは自分たちで飾り始めた。私はカップケーキにスプレーをちらほらとかけた。ところがガキンチョはドバーっと、そりゃもう思いっきりぶっかけた。食べることを思うと見ただけで胃が痛くなる、それくらいどっさり。で、それが派手なのよ。きれいなのよ。私が作ったのと並べると明らかにガキンチョに軍配が上がるの。あー、今年も最後の方まで売れないんじゃないかなあ。なんだか力が抜けてしまった。「アメリカで売れるケーキ」を目指すには良心は邪魔なのだということがわかった。