Puns



 最近、お腹の痛くなる風邪が流行っているらしい。スクール・ナースから電話があって、お腹が痛いというミーを迎えに行った日のことである。この日、我がガキンチョはこぞって「お腹がいたいよー」という。痛いだけで、どうこうするわけではない。痛いから食欲はないんだけれど、おやつならしこたま食べられる。しかし、宿題をしても集中力に欠けるので、なかなか進まない。「もー、やだー!」チーが爆発寸前なので、ちょっと力を貸すことにした。

 最近チーの宿題は難しいのだが、この日はちらっと見て私向きのモンダイだと思った。Puns、日本語でいうと駄洒落である。EGG-OMANIAと題されたプリントには卵の絵+2つの卵が叩き合っている絵=Eggs-Hit=EXITと書いてある。この手のものが8問である。

 一つ目は、卵+salt。二つ目は絵が下手なので一番困ったのだけれど、卵+ピーナッツの殻。以下、卵+飛行機、卵+コイン(チーは輪切りのキューリだと思ったそうな)、卵+SAMと書いたTシャツを着ている男の子、卵+テント、卵+二つの目、卵+LBと書かれた重り。お腹の痛くない母は快調そのもの。よどみなく答える様子にチーは目を大きくして驚く。驚く。

 次は作文である。これもPunsを使ったもの。アイデアをいくつか出してみる。英語で駄洒落を作るのは、私には結構難しい。例えば、punとpan、日本語で表記すればどちらもパンである。でも、実際の発音はまったく違うのだ。日本語の母音はあいうえお5種類だが、英語の母音は実に多い。ガキンチョが英語を話し始めた時、私が一番びっくりしたのは、母音の多さである。おとうも私も、どうもあいうえおの応用で英語を話しているフシがあるが、ガキンチョは両親の英語とはまったく別の英語を話している。私達の英語の発音は子音のキレを良くして、母音の種類を増やせばグンとよくなるに違いない。とにかく、駄洒落を作るにはpunとなら、panよりfunやbunを使った方がいいと思うのよ。

 チーは言った。「あのね、ミセス・スタトラーのハズバンドがね、晩ご飯の時グリンピースを落としちゃってね、" I peed ( pead ) on the floor."って言ったんだって。」これは、「床にオシッコしちゃったよ!」という意味になり、peasのpeaとオシッコのpeeが駄洒落になっている。駄洒落というのは時として下品なことがあるというのはわかってはいるけれど、実際教室で先生の口から聞くというのは珍しいことで、子供たちは大いに喜んだそうだ。(これを家に帰って使ったハザーはお母さんにしこたま叱られたそうな。)チーには下品な駄洒落は使わないように言っておいた。そーゆーのはおとうに任せておけばいいのよ。

 念のため、exalt, excel, explain, exchange, exam, extend, excite, expandが答えです。ガキンチョの宿題には他にクロスワードパズルがよく出ます。クロスワードパズル用の辞書まで売っているので、チーは「欲しい!」と騒いでいます。ボキャブラリーの少なさに泣く母には手伝ってやれないことが多いものですから。