頑固モノ
私は子供4人を母乳で育てた!と言うとなんだか肝っ玉母さん!立派な母!と思われるかもしれない。実際に粉ミルクは使わなかったのだけれど、主義主張があってそうしたわけではない。
母乳はあまり豊富に出なかった。ミルクを足そうとしても、チーは飲まなかったのだ。チーの3ヶ月検診の時、体重の増え方が少ないと保健所で言われた。「出ないおっぱいを吸わせているからよ!かわいそうに。おっぱいをやめてミルクにしなさい!」これだけでも、あたしゃ落ち込んだものだけど、かわいい我が子のため、おっぱいをやめてミルクに切り替えることにした。それから2日間。チーはミルクも湯冷ましも砂糖水も普通の水も飲まなかった。ただ、泣くだけである。私は困り果てて、チーを産んだ病院の相談室に飛んで行った。
テレビでも有名なドクターは「いいじゃないの。そんなにお母さんのおっぱいが好きなら、飲ませてあげなさいよ。この子なりにちゃんと成長しているんだから、大丈夫。」と言ってくださった。以来、ずっとおっぱいが足りていたわけではないけれど、ミルクをやって、飲まない時には無理強いをせずにいたのだ。ウチのガキンチョが揃って「頑固」なのかもしれないけれど、それにしてもこの小ささでこれほどまでに好き嫌いがあるものかと感服したものである。
さて、ポポコの食事はドライタイプのドッグフードである。我が家に来たその日から、ずーっとドッグフードである。ぽぽパパもドッグフードの方がよいと言っていた。理由は、はて、なんて言ってたっけ?
とにかく、一番小さな袋を買って、ポポコの気に入ったものにしようと思った。ところが、どの袋のもあまり食べなかった。きっとこいつは人間と同じ物を食べていたに違いない!と思ったものだ。実際にはフィラリアにかかって、食欲が落ちていたのだが。ポポコの主治医(人間よりよほど精密にかつ頻繁に検診を受けているのだ。こう呼ばずにどう呼べばいい?)によると、栄養的にも躾の面、つまり、人間が食べているものをほしがってだだをこねるようなことがないっていうことからも、ドッグフードがいいということである。病気が回復してから、ぽぽこの食事はあるメーカーの「ビーフ味」のドッグフードに落ち着いていた。ところがおとうが「一つの物に決めるのはよくない。万が一、有害な物が入っていた時に危険である。リスクを減らすために、いろいろ変えた方がいいのだ。」そう言われるとそうに違いない。根が単純な私はすぐ実行に移した。
一つのドッグフードにするということには利点もある。う××である。同じ物を与えておけば、う××の変化で体調を推し量ることができるのだ。物言えぬポポコには大事なことに違いない。で、小さな袋を買って、それが終わるたびに違う物を選ぶようにした。一袋2ー3週間というところか。面白いことだけれど、犬にも嗜好があるのよ。ポポコはチキンよりビーフ、ビーフよりラムが好きなのである。さらに、ラムならどんなものでもいいかというと、それが違うのだ。喜んで、飛びつくように食べるものもあれば、お腹がものすごく減ってからでないと食べないものもある。そして、どうしても食べないラム味のドッグフードもあるのよ。とにかく食べない。好きなドッグフードと混ぜると、好きな方だけ食べて、嫌いなのは残す。見事なほど器用なの。「間違ってキャットフード買ったんじゃないか?」おとうが言う。いえいえ、何回見てもドッグフード。しかも、何事にもおおざっぱなアメリカでは珍しい、1回分ずつの「新鮮パック」なのに!「え?それを食べないのか?贅沢なやつだ!」おとうは怒る。「腹がへりゃあ、食うだろう。食うまで他のをやるなよ」おとうのお達しである。しかし結果として、私達は3日間何も食べずに過ごしたポポコに根負けしたのだ。
我が家はガキンチョも頑固だけれど、犬は輪をかけて頑固である。困ったもんだ。