迷い犬はよっといで! まとめて面倒見ましょ!



 フロントヤードで遊んでいたちーがあわてて入ってきた。「あのね、犬がね、アリソンのうちの方へ行ったの。だから、ちょっと行ってくる」????ぽぽこが逃げた訳ではなさそうなので、「きをつけて」と答えた。その日はベッキーとローリーとモニカとウィットニーががやがや集まっていて、にぎやかだった。パンを焼いていた私は20分ほどしてベッキーに呼ばれた。「かおが犬を捕まえた!」迷い犬を保護したようだ。なんとリーシュの”両端”に大きな犬を連れてかおが歩いてきた。Wow!

 良く見るとあれはゴールデンレトリバーという種類の犬じゃないか?すごくでかい。もう一匹は名前はしらないけどすらっとしたブルドックみたいなヤツだ。ちょっと見ると恐い感じ。「どーすんのよ!」ベッキーがすかさず「狂犬病のタグをつけている」。でもどうして私に言うのよ!ベッキーのお母さんの車は・・・・。あるじゃない!でも夜勤前のお昼寝なのかな?ん、もうしゃーないナー!英語が死ぬほど苦手な母を困らせるなって!でも2匹とも大人しくて良い子だ。ちーに言わせるととても困っている様子だったとか・・・。何とかしなくちゃ。

 撫でていると犬達も落ち着いてきたようだ。ちーの持ってきた水をおいしそうに飲んだ。のんはレトリバーに乗る真似をして"My horse!"と言っている。みーはブルドックに「ボンボボンボン」とささやいている。ボンボボンボンというのはステートフェアでおとうが取ったブルドックの縫いぐるみの名前なのだ。早いとこ、飼い主を見つけなくっちゃ。

 タグには4桁の数字と予防注射をした動物病院の住所と名前、電話番号が書いてある。そこに電話をすりゃあいい!わかっちゃいるけど英語だよ!でもがきんちょ達の期待を裏切れない。頑張れ!かあちゃん!

 しどろもどろになったけど、何とか飼い主の連絡先を聞けた。2匹とも同じ飼い主だった。「娘がおたくの犬達をみつけました」電話をすると一瞬の沈黙。あれ?なんか間違えたのかな?ハロー?

 「見つけていたのだけれど見つからなくって。どこですか?息子が帰ってきたらすぐ迎えに・・・。あっ、いま息子が帰ってきたから、ちょっと待っていてください。」すごい慌て方であった。やはりお金をかけた犬なのだ!?こっちの住所と電話番号をいって、迎えを待つことにした。かわいい。レトリバーは柔らかく長い髪が心地よい。ボンボボンボンはかたく短い髪だ。飼い主の家を地図で見ると直線距離は結構短い。でもやぶを突っ切って行かなきゃ行けないのだ。方向は良かった。さすが犬。「また遊びに来てもいいけど、こんどはマスターに言ってからくるんだよ」とささやいた。ベッキーに聞かれてしまった。「また、おいでね。」ベッキーもささやいた。 

 ピックアップが迎えに来た。20代のお兄さんとティーンエイジャーの妹。車に載せて出かけているうちにいなくなったそうだ。ピックアップに飛び乗るように催促する。でも動かない。別れを惜しんでくれているようだ。「おかしいな。いつもは乗るのに」とお兄さんが持ち上げる。たった数十分なのに別れがつらい。何度もお礼を言って、ピックアップは出て行った。みーは思いっきり情けない顔で泣きだした「ボンボボンボンー!」ベッキーも寂しくなって「まだ迷い犬がいるかもしれない」などとつぶやいてアリソンの家の方に出かけて行った。ローリーは自分の犬を連れてきた。私たちもぽぽこのところへ飛んで行った。

 キャー!パンがガチンガチンだー!