Curry ; Japanese style

毎月第1日曜日には、教会に食べ物を持ち寄って食事会をするのがならわしである。8月は牧師のさよならパーティーを兼ねて行われた。

 今回、おとうのリクエストでカレーライスを持っていくことにした。私達が教会についた時、ダイニングルームにはすでにごちそうがごっそりと持ち込まれていた。ご飯とカレーの入れ物を並べて置いた。バフェ・スタイルなので、ご飯にカレーをかけるという食べ方を一通り説明した方が良いのではないかとおとうにいったのだが「しなくていい。黙ってろ」とのたまう。それとなく目を光らせているが、誰もカレーに手を伸ばさない。ガキンチョも「売れないねえ」とちょっと心配そう。おとうだけは「余ったら持って帰りゃいい」と涼しい顔をしている。3分の1くらいの人がまわったところで、若い女性がご飯に手を伸ばした。ガキンチョがすかさず「ご飯を取ったよ!」と騒ぐ。そして次に彼女はカレーに手を伸ばし、ご飯の上にドボッとカレーをのせた。もしかして、カレーを知っている???

 彼女の動きを見ていたからか、次の人もその次のひとも同じようにカレーを取った。中にはカレーだけをさらにのせた人もいる。そばにあったバターライスに添えた人もいる。そういう人がカレーを食べる時、おとうにはsaltyという言葉が聞こえたそうな。白いご飯と一緒でなければ、当然カレーはしょっぱいのよ。カレーの売れ行きを見ていたおとうは、カレーが4分の1、残りをアメリカンでいっぱいにした1皿目を急いで平らげると、2皿目を取りに行った。今度はカレーライスだけである。

 最初にカレーを取った彼女がおとうにカレーの作り方を尋ねたそうだ。おとうはもちろん「ワイフに聞いてくれ」と答えたので、彼女は早速私の所にやってきた。彼女もダンナもカレーが好きなんだそうな。時折インディアン・レストランへいくという。この日は残念ながらダンナは用があってこられなかった。レシピを貰って作り、ダンナへのサプライズにしたいそうだ。

 結局カレーは全部売れてしまった。家に戻ってその旨をおとうに告げると、おとうは「まさか!」と叫んで鍋の蓋を開けた。で、ガックリとため息をついた後で「あー、お代りしといてよかったなあ。」とつぶやいた。カレーの好きなカオは「1杯しかたべてない!」と残念そう。その翌日から「今日の晩ご飯、なにがいい?」と尋ねるとカオは「カレー」と言い続ける毎日である。そう言えば私は自分の作ったカレーを食べずに終わってしまったのだ。よーし、今晩はカレーに決まり!