再燃!ウルトラマン
焼けボックイに火がつくという表現はよく恋愛について使われるが、今回のガキンチョはまさにそんな状態である。
ウチのガキンチョは知っての通り女ばかりである。殴る、蹴るといったアクションは大の苦手なのだが、どーゆー訳かウルトラマンが大好きだった。カオにいたっては、大きくなったら何になるの?という質問に「ウルトラマン」と答える時期だってあったのだ。ウルトラマンの運動靴を履いていたし、幼稚園のスモックにウルトラマンのアップリケをしていた。ただ、「女のくせに」などというやつらがいるので、スモックの裾にフリルをつけたけれど。
プラスチックのウルトラマンの人形もどっさりあって、子供部屋のおもちゃ箱の一番下に入っていた。日本のデパート(新宿の小田急)で、私はおとうの目を盗みウルトラマンのコーナーで、ちょっと買い物をした。ウルトラマンの鉛筆とかメモ帳とか…。ガキンチョは後になってそれを発見し、ウルトラマン・フィーバーに火がついたという次第である。
私達がアメリカへ来る頃、日本のテレビではウルトラマン・パワードを放映していた。その前にはウルトラマン・グレートのビデオが出ていた。どちらもオリジナルは英語なのだ。実際テレビでバイリンガルの放映がされていたかどうかは知らないのだけれど、とにかく我が家にあるビデオはパーワードもグレートも日本語吹き替え版である。当時はもちろんガキンチョも日本語しか知らなかったのだから、当然のこととはいえ、紅毛碧眼の人たちが訛りのない日本語をしゃべり、しかも口の動きが不自然とくれば、今のガキンチョから文句が出るのも仕方のないことだろう。「ねえ、英語にしてよ!」できないの!で、不自然な吹き替えより、昔のウルトラシリーズがガキンチョのお気に入りである。ノン、ミーなどは最近、どこに行くにもウルトラマンの人形を持っていって、可愛がっている。寝る時にも布団にもって入るし、私にも「一緒にネンネしていいよ」と貸してくれる。冷たくて固くて、抱き心地は良くないのだけれど。隣りのアレックスもウルトラマンが好きになったようで、時折ビデオを見に来ている。(子供にとって言葉は二の次のようだ)
このあたりで私と同年代の人はウルトラマンやジャングル大帝を知っている。もちろん昔の愛すべきゴジラも。「子供の頃見た」そうである。大きなビデオ屋には日本のアニメや特撮物のコーナーがあり、アメリカじゃあ滅多に目につかない「セクシーな少女」(なんだか嫌な表現)の絵が見えたりする。「日本モノのビデオはお取り寄せできます」の張り紙があり、マニアックというか、オタクがいるに違いないと思っていた。
ある日、なんとなく新聞のPerson To Personのコーナーを見ていたのだが、ガールフレンド募集の欄に「日本アニメやウルトラマンのシリーズのビデオを見るのが趣味です。一緒に見ませんか?ぼくの持っていないビデオを持っている人、大歓迎。」なんてえのがあるのを発見した。確か20代前半の男性だったと思う。このあたりの妙齢の女性で日本のアニメやウルトラマンが好きだなんてえ人、いるんだろうか?