バックミラーがない!
確かに私はDodge "Grand" Caravanに満足していた。最近はフォードのウィンドスターの飛びぬけた安全性の高さに目を奪われないではないけれど、3年前に買った時は両サイドについたスライドドアも画期的だったし、乗り心地も操作のしやすさも視界の良さも日本で乗ったことのあるどの車より上だった。アメリカの車の中でもちょっと値の張る物ではあったけれど、一家6人の命を預けるのだから多少は高くとも仕方ないと私は納得していた。
ある日、ゴミを捨ててからK−マートに行くことにした。いざ、ゴミを積み込んで出発しようとおもったら、ないのよ、バックミラーが!あれれ?床の上に転がっているのがもしかしてバックミラー?
つまり、この車のバックミラーは接着剤でくっつけただけのシロモノで、3年と2ヶ月たってポロっと取れちゃったということなのである。なんとかしなければ…。かといって、日本では405万円出さなきゃ買えない車のバックミラーをそこいらのスーパーで買った瞬間接着剤でくっつけちゃっていいもんだろうか?「汚すな、こするな。高く売るんだからな」が口癖のおとうに一応了解を取らなければまずいだろう。電話をすると「俺は会社で忙しい」がこれまた口癖のはずのおとうなのだが、「ちょっと待て、今すぐ行くから」ときたもんだ。
10分も経たないうちに帰ってきたおとうは、車とミラー双方の接着面を丁寧に紙やすりでこすり、それから私にアルコールで丹念に拭かせた。瞬間接着剤でくっつけた後が直射日光で高温になるとまずいんだそうで、ぬれたバスタオルをフロントガラスに置けとのたまう。そんなこんなで「瞬間」につくはずの接着剤だったが、実際バックミラーが取り付けられたのは、小1時間もたってからだった。
走行中に落っこちたんじゃなくって良かったなあと思いながら、接着剤でくっつけただけなんて、心もとないっていうか、お粗末っていうか、なんだか情けなくなってしまった。