一時帰国 準備その1



 日本への一時帰国の日程が、すったもんだの末やっと決まった。

今回モンダイだったのはパスポートであった。ビザが3月の下旬までしかなくて、延長(正確には新たにビザを取得しなければいけない)するため、ワシントンに6人分のパスポートを提出してしまったのだ。パスポートがなけりゃ、アメリカから出ることもできないのよ。見込みでチケットを買ってもし、パスポートが戻ってこないとなると、格安チケットはキャンセルも変更も出来ないから大損害なのだ。パスポートは手続きに4ー6週間かかるということで、手元に無事戻って来たのが6月の第2週に入ってから。おとうはすぐに旅行代理店へ6人分のチケットを申し込んだ。

「代理店に電話したら、まだ何もしてないだと!申し込んでから3日もたったのに!」おとうは帰るなりものすごい剣幕で話し始めた。「来週の水曜日までに取らなかったら他の代理店に頼むって言っておいた。」おとうは電話じゃあ埒が明かないと思ったらしく、ある日代理店に出かけて行った。家に帰ると、おとうは盛んに首をかしげている。「おかしい。最初に申し込んだ時、必要なことは全部タイプして渡したはずなのに」飛行機のチケットを申し込むには、搭乗予定者すべての名前が必要なのだが、アメリカで日本人の名前を正確に伝えるのは、本当に大変なのよ。いちいち全部のスペルを言うのだけれど、SaitoがSaipoやFaito、最悪Faipoになるのだって日常茶飯事なのだ。

で、おとうは賢くタイプして渡したんだそうな。ところが「出発はいつでしたっけ?」などと、間の抜けた質問をされ、結局6人分の名前を全部スペルアウトしなければならなかった。後日チケットを取りに行くと6人固めて席を取れと何度も何度も言っておいたのにバラバラの席で、おとうはデルタ航空に直接電話して、席を変更してもらわなければならなかった。心底頭に来ているおとうは、この話をあちこち会う人毎に言っているのだが、中には「チケットを持って空港に行ったら、該当する飛行機がなかった。」という悲惨な体験をした人もいる。デルタ航空はアトランタ・成田間の直行便をつい最近就航させ、今回はそれを利用することにした。毎日1便ずつの運行なのだが、例の代理店では「朝の便にします?それとも夕方?」なんてのんきなことを聞かれたというから、こちらがしっかりしていないととんでもないことになるのだ。

 このほかにもおとうはホテル(日本で利用する。着いた日と出発の前日。本当ならこの2泊ですむのだけれど、双方の実家に公平に泊るため、もう1泊ホテルに泊らなければいけなくなった。なんてあほらしいことか!)の手配やら、運転免許のこととか、携帯用お尻あらい機のこととか、いろいろあって、ついに癇癪を起こした。「バカヤロー。文句があるんなら、おめえがやってみろ!」ヘイヘイ、やってやろうじゃないの。ホテルっていったって、東京のホテルなら日本語じゃないのさ!そう思ったら、私に回ってきたのは、こっちで取る国際免許証の方だったのだ。