Gun safety
日本で子供たちのナイフによる事件がモンダイになっている時、アメリカでは同様に子供たちによる銃での事件が頻発している。ガキンチョの通う現地校ではないが、同じ学校群の小学校で、夏休みを目前に控えたある日、1年生の女の子が学校に銃を持って来るという事件があった。父親のものを友達に見せたくて持ってきたのだが、実弾が装填されており、事故が起きなかったのを本当に幸運だと思う。
ルイジアナ州で日本人留学生がハローウィンのパーティーに家を間違ったために銃殺されたのは何年前になるだろう。その後、ご両親は銃追放の運動をはじめたと報道されていた。また、毎年ワシントンでは銃の犠牲者の靴を持ちよって並べ、銃に抗議するという運動があると記憶している。銃による事件が頻繁に報道されているにもかかわらず、実は「銃追放」という声をここに来てから聞いたことがない。銃の規制が必要になったのではないかという声が上がるにしても、銃を追放するという考えではないのだ。インターネットで朝日新聞を読んでいる時、アメリカ・ライフル協会の会長で俳優のチャールストン・ヘストンが銃を持つのはわれわれの権利だと主張している旨の記事を見た。この主張はどうやらここいら辺りでの大勢を占めていると思われる。私も何人か趣味がハンティングだという友人を持っている。サンクスギビングに欠かせないターキーはサウスカロライナ州のゲームバードだが、野生のターキーはハンティングの格好の獲物なのだ。そのための銃はスーパーで売られているし、それを仕舞っておく(飾っておくという方がふさわしい)ケースもいっぱいある。夏休みに入る前、ガキンチョは学校群からgun safetyについてのプリントを持ち帰った。以下はその要旨である。
全家庭の半数近くが銃を所持している現状では、自分の家の銃だけではなく、友人知人の家に行って銃を見るケースもある。銃に近づくなというだけではなく、もっと率直に銃の安全について子供と話をして欲しい。子供たちは親がその場にいて、許可を与えた時以外、銃に触ってはいけない。銃がおもちゃではない本物であり、実弾が装填してあり、すでに火を吹く用意が出来ているのだということを説明して欲しい。もし、銃を見たら、止まれ!触るな!その場から離れろ!大人に話せ!という約束に従うように言って欲しい。遊びに来た子供の友達にもこのルールを説明して欲しい。特に小さな子供は、ドラマと現実の世界を混同しやすいので、例えばあるドラマで殺されたはずの人が別のドラマに出てきた時など、実際に殺されたわけではないのだということを話すのがいいだろう。子供がもしおもちゃの銃を持っていたら、銃の安全な扱い方を見せたり、本物の銃との違いを説明して欲しい。子供が銃のある場所に行けないようにするのはもちろんのことだが、本物の銃をおもちゃだと誤解するようなことのないようにしなければいけない。銃を子供たちが近寄れない場所に保管して欲しい。
ライフル協会の中には、持つ権利にとどまらず、昨今の銃による事件の多発に、銃を携帯して身を守る権利を主張する人もいるようである。彼らが事件の増加を認めるのなら、せめてその主張の中に、銃を既に持っている人に対して、保管を厳重にするように注意を喚起する発言がなければならない。子供たちの起こした事件の大部分は、父や祖父の銃を持ち出してのものなのだ。