ウォーキング
夏休みにまた一時帰国をしたいと考えている私達は、付け焼き刃の体力作りに励むことになった。ガキンチョたちが大きくなったので、3年前に比べると旅行も楽にはなった。が、一番大きいチーにとってもスーツケースは重く、転がすことは出来ても持ち上げることはできない。おとうは腕立て伏せを、私はウォーキングを始めた。ミス・ケイは毎日3マイルのウォーキングを続けており、「気持ちいいわよー!」と熱心にすすめてくれたものだから。
ウォーキングといっても、出来る時間は限られている。ガキンチョ連れでのんきに歩いては、基礎体力もつきゃしない。おとうが食事を終えて会社に戻る1時からしかないのだ。このところ、雷や竜巻がこなくなったと喜んでいるが、連日35度くらいまで気温が上がっている。真っ昼間のウォーキングは無謀だと思われるかもしれない。実際、本当に暑いのだけれど、夕方よりはましなのよ。そういえば、チーが日本の理科の教科書を読んで言ったことがある。太陽の南中と一日の最高気温の出る時間がずれているというあたりだ。「午後2時くらいが一番暑いんだって。こっちはもっと遅いよねえ」そう、こっちでは今、夏時間だということもあって最高気温に達するのは4時近いと思う。ちなみに日の出は6時20分、日の入りは8時22分である。
家の回りではなくて、学校に面した道路の歩道を歩くことにした。この歩道は日本のように車道のすぐとなりにあるのではなくて2mほど舗装していない部分をはさんで設けられている。我が家から一番近いグローサリーストアのあるところまで、一直線。往復で2マイル。3kmちょっとである。私が歩く時間帯は、ちょうど昼食時なので、同士は少ないが、それでも、一人や二人はすれ違う。今日は、何やら演説の練習をしているらしい人とすれ違った。恐い顔をして、こぶしを握り締めて、「たくさんの人々の寄付が」どうのこうのと言っているらしい。すれ違うのにちょっと勇気がいったけれど、50歳くらいのそのご婦人は、にっこり笑って「ハーイ!」と言ってくれた。
30分弱で、家に戻ると汗がなかなか止まらない。シャワーを浴びて、それでもしばらく、汗が流れる。おとうに言ったら、「汗が出たって、水を飲めば体重は戻るんだ。そんなんでやせやしないぞ。」だって。30分ほどのウォーキングで消費するカロリーはたったご飯1杯分ほどである。しかも歩くとお腹がすくのだ。で、減量という点に関して言えば効果はないのだけれど、確かに気持ちがいいし、足の筋肉強化にはなりそうだ。機嫌よくしていたのもつかの間、新聞には「15分あればやけどするのに充分、日焼け止めのクリームを塗りましょう」と皮膚がんを警告する文章。そうそう、紫外線は皮膚だけではなく、眼にも悪そう。明日は日焼け止めクリームとサングラスで出かけるとしよう。