運転は命懸けよ



 まったく、何を考えて道路を作ったのかと叫んでしまうほど、フリーウェイの出入り口は危険である。出口があってから入り口がある場合は良い。が、入り口があって、その加速車線がすぐ先の出口の減速車線を兼ねていたりすると、危険は極致に達するのだ。アメリカには早くからPL法があって、製造者の製造物に対する責任は全うされると思っていたが、フリーウェイに関しては構造上の欠陥に誰も責任を負わないようである。

 フリーウェイの出入り口は原則として右側にある。(そう言えば、日本の首都高速は出口が左右まちまちで、これも危険極まりない構造であった。)だから、このあたりでは、フリーウェイを出ようとする車は右の車線に移っておけばよい。で、減速車線に入ってスピードを落とそうとすると、実は入ってくる車があるんですな。反対にフリーウェイに入ろうとする車からみると、加速しようとすると左から車が割り込んできたり、左の本線に入ろうと後ろばかりを気にしていると、隣りの車線を走っていたはずの車が出口に向かうべく、前に割り込んで減速したりする。加速する車と減速する車の共存共栄が短い道の中で試みられているのだ。フリーウェイを走る時はそういった可能性をすべて頭に入れていなければいけない。

 フリーウェイの制限速度はたいてい時速55ー65マイルである。最低の制限もあって、それは時速45マイルの事が多いようだ。私は、普段は滅多にフリーウェイを運転しないが、たまに走ると、必ず、最低制限速度に達していない恐ろしく遅い車に出会う。車検が廃止されたサウスカロライナでは、所有者が車の整備の責任を負っているはずなのだけれど、とんでもなくぼろい車を見かけることがある。アンティークの趣味があるわけではなく、30年以上も昔に造られたであろう車に乗っているのだ。そういう車は、たいてい加速がのったりとしているし、上り坂でも力不足だ。車はピカピカの新車でも、運転者が年代モノの場合もある。スーパーで電動カートから降りて、フラフラしながらやっと歩いて車に乗り込んでいるお年寄りを見かける。自分で運転してるのよ。ここでは公共の交通手段はないに等しいから、どんなに年を取っても、車の運転はしなきゃいられない。そういった車のすぐ後になってしまったとき、フリーウェイでは車の流れに乗って走るということが特に大事だと思い知らされる。

 運転マナーの悪さも目につく。ウィンカーを出さないのは日常茶飯事で、出しっぱなしで走っているのやら、出したのとは反対に曲がるのがいる。割り込みはドラマのスタントマンばりに車の間を縫っていくヤツが実に多い。スピードが出ているから、ひとたび事故を起こすと、取り返しのつかないことになる。こっちに来て、何度事故の現場を見たことか。

 ここに来て間もなく3年になる。8月からミーもフルデイクラスに入ることだし、私が車を運転する機会も、運転する距離も増えることは確実である。さらに気を引き締めねばと思うこの頃である。