春の苦労 その3



 草むしりのおかげで、少しすっきりした庭を見ていると、どんどんと欲が出てくる。雑草だらけの西側を何とかしようということになった。そこには2年前、フロントヤードの植え込みの影に生えて来てしまったカエデを3本植えただけなのだ。おとうと話しているうちに、大きくなれない哀れなツツジのことが話題に上った。それをあのカエデの所に植えよう!となって、土日をガーデニングに費やすことになった。

ガーデニングってえのは日本じゃ今、ブームらしい。TV-JAPANでそんなことを言っていた。「はて?日本にはそんなにブームになるほど庭のあるウチが多かったっけ?まさかベランダのプランターまでガーデンと呼ぶんじゃあるまいな?」こんな風に考えるなんて、広い庭を持て余している私はちょっと意地が悪になっているのかもしれない。

土曜日、ツツジを数えると意外に多いことに気がついた。まず、東側のスイセンのそばに2本植えかえることにした。根元を乾燥と日差しから守るため、木のチップを買いに行くおとうが「これ、植えかえとけよ」と1本のツツジを指差してそっけなく言った。はっきりいうと、植えかえるって言うのは重労働なのだ。最近とみに筋肉をつけている妻だからそう言えるにちがいない。おとうが買ってきたチップは「パインナゲット」と呼ばれるものである。松の木をチキンナゲット状に砕いたもので、おとうとガキンチョは大喜びで「チキンナゲット」と呼んでいる。クリスマスに使われたツリーが姿を変えたものなのだ。ナゲットで土を覆うと、なんだかものすごく豪華な雰囲気になる。気をよくしたおとうが、「チキンナゲットを植木のところにも撒こう!」という。

翌日曜日、教会をおさぼりして、朝から雑草とり。おとうがスコップで掘り起こした雑草の土を丁寧に払い落とす。途中で蟻がウヨウヨ出てきた。薬を撒いて、そこは後回し。腰は痛い、足はしびれる。ガキンチョは土の中からでてくる虫に悲鳴を上げ、騒ぐだけ騒いでどこかへ消えてしまった。昼食は中華のバフェで精をつける。家に戻ってまた草取り。おとうはK-Martにナゲットを買い出しにいった。やさしいチーが「お母さん少し休んだら?」と言ってくれる。おとうのいない間に眼にみえる成果をあげておかないと、後が恐い。立ち眩みが激しくなる。

買ってきたナゲットは前日のより豪華さにかけるものだった。安売りにつられたのがいけなかった。この日動かしたツツジは計7本。比較的ゆとりのある場所の4本はそのままにした。これらは花が終わる頃、少し剪定した方がいいかもしれない。ガキンチョは、植えかえが終わって水を撒こうと言う頃になって、やってきた。下の二人は用意周到に水着を着ている。(身の安全のため、ショートパンツやスパッツを穿くように言ってある。)

今週中にLow'sへ豪華な方のナゲットを買い足しに行って、バックヤードの花壇に花の種を撒くと、ガーデニングもようやく一息つくことになる。