13歳の犯罪



 犯罪の低年齢化と凶悪化は、今や日本中を震撼させているが、先日アーカンサスで起きた事件は、サウスカロライナでも大きくとりあげられ、私達を震え上がらせた。

その事件はアメリカのアーカンサス州で、24日13歳の少年が11歳のいとこと中学校でライフルなどを乱射し、教師一人を含む5人を射殺し、10人に怪我をさせたというものである。13歳の少年は自分を振った女の子を皆殺しにするつもりだったそうで、銃やライフルは祖父と継父のものを盗んだのである。

アメリカでは州によって法律がマチマチで、今回の事件は当然のことながらアーカンサスの法律によって裁かれる。アーカンサスでは14歳以下の犯罪は大人と同様には裁かれないことになっており、18歳になった時点で少年が社会復帰する可能性もある。アーカンサスではこれから、今の少年法が果たして凶悪化している現状に適したものであるか議論されるのかもしれない。

サウスカロライナは犯罪の発生がアメリカの中では、さほど多いわけではない。だが、以前このコーナーで紹介した事件(未成年者の犯罪)以後も、確か17歳の女の子が近所に住む友達を殺した事件、17歳の少年が別れたガールフレンドのお母さんと新しいボーイフレンドを射殺した事件など、未成年者による犯罪は報道されていた。アメリカでは知っての通り、簡単に銃を手に入れることが出来る。護身用だけでなく、たとえばハンティングはとても一般的なスポーツである。仮に日本が同様な条件であったら、昨今の「ナイフ」による事件は銃に置き換えられていたはずだということは容易に想像できる。

新聞はコロンビアの教育委員会の人たちの発言として「学校は生徒の安全を保証できない」と伝えている。今回少年は校舎の外で火災報知器の誤作動で生徒たちが出てくるのを待っていた。(だから火災報知器を鳴らした第3の人物がいるのではないかといわれている。)このように、外で待っている凶悪犯には、校舎に金属探知器をつけたとしても意味がない。学校に限らず、会社やショッピングモールでも同様だ。その意味において、学校はなす術がないのである。日本では持ち物検査が「人権侵害がどうの」と言われているが、犯罪の起こりうる場所が学校だけだと限定できない以上、持ち物検査そのものが既に意味をなくしていることにも気づくべきだろう。もっとも、「学校の中だけでは事件を起こしてほしくない」というのなら、多少の意味が見出せるけれど。

日本では「前頭葉の発達の遅れ」に子供たちの荒れる原因の一つを見ようとしている。もしそれが本当だとすれば喜ばしいといえる。原因が分かれば対処の仕方も分かるのだから。こちらの新聞はあくまでも事実を報道しているだけである。解決の糸口を見つけることはできない。新聞は教育委員会のスポークスマンの困惑と恐怖の言葉で記事を終えている。