我が家の電話会社変遷史



  アメリカに来ておとうが契約したのは、長距離と国際電話がともにAT&Tだった。しばらくして、いろんな電話会社が勧誘の電話をしてきたが、AT&Tの日本まで1分39セントのサービスが終わった直後、MCIが1分48セントというサービスをしていることが分かった。これにはおまけがついていて、1年間契約を続ければ、使用料の2割を還元するというものだ。1分間で39セントの勘定になる。早速MCIに乗り換えた。

去年の暮れ、契約からまだ1年経っていなかったが、「お正月のレジャーの資金にどうぞ」と今までの利用の2割ほどを還元してもいいという手紙がMCIから届いた。いまチェックを受け取ると当然のことながら1年目の還元を受け取る権利はなくなる。MCIがどういう考えでこーゆーことをしたのかいまだに理解できないが、おとうは当然のようにチェックを換金するとすぐにMCIからAT&Tに戻してしまった。

ひとつの電話会社でも、いろいろな種類のサービスがある。それによって料金もかなり差が出る。おとうは国際電話をAT&Tのワンレート何とかというヤツに代えたいと思っていた。私が間違って契約したのはアメリカ国内の長距離電話だった。(ちゃんとインターナショナルコールって念を押したのだけれど、インターステートコールだったってえことなのよ。故意か過失かわからないけれどね。滅多に長距離は使わないけど、今月はビザの書類の紛失騒ぎでいっぱい使ったから、結果的に損はしなかった。ラッキー!)国際電話のワンレート何とかというヤツは、土日しか利用できないなど、いまいちであることも分かった。

電話会社のパンフレットはとても分かりづらい。見落とすと思わぬ損をすることがある。割引するといっても、何分間かを越えていないと適応されないとか、毎回手数料がかかるとか…。心の広い私は電話会社がわざとわかりにくいパンフレットを作っているとは言わない。セールスポイントを大きく扱ったために、他が見えにくくなっちゃったってえことなのよ、きっと。うまい話には裏があると思って用心するのが、アメリカで上手に生きていく知恵なのだ。

一応AT&Tに戻したといっても、いくつか余計にダイヤルするとAT&Tより安い料金でかけられるというので、その長い番号を短縮ダイヤルに登録して、最近はもっぱらそれを使っていた。そこへ来てMCIの「75ドルあげるから契約して!」の手紙である。75ドル。食べ放題のレストランに家族総出で2回行ける!中華のバフェなら3回だ!マクドナルドだとナント5回!お寿司やさんに行くのもいい!私がそう言うとチーが「ねえ、お母さん、たとえば洋服が買えるって思うことはないの?」とあきれたように言う。おとうも「75ドルはでかいなあ」という。おとうのことだから、75ドルをせしめた後でほどなくまた乗り換えるということは有り得る。そーゆーセコイ人の名前はブラックリストにでも載って、そのうちお誘いがかからなくなるんだろうか?それとも、電話会社にとっては、多少出費してでも契約をとる方が得なんだろうか?だったら、もっと素直に料金を値下げすればいいのにと、素人の私は思うんだけどなあ。

ここにいる限り、我が家の電話会社変遷史は終わることはないだろう。