The Occultation



昨日、星が月の裏側を通るという現象が見られた。(おとうは星を見るのが好きで、先月の末には昼休みに部分日食の写真を撮った。ヘール・ボップ彗星の時も、家族は好むと好まざるとにかかわらず、お付き合いをしたのだった。)

今回、月の裏を通る星は1等星で、目の悪いチーには肉眼では見えない。午前中は晴天だったものの、午後から雲が多くなって、おにぎりを持って1時間ほど南のオレンジバーグという所まで行くことにした。

日本にいる時、アメリカでは一日中天気予報を流しているテレビ局があって、天気予報という分野でもアメリカは世界一なのだと思っていた。確かに天気予報のチャンネルはある。気象衛星による雲の写真はどんどん(30分毎だったか)新しい物が流れてくる。でも、最近の日本の天気予報のきめ細かさ(余計なお世話という表現もあてはまる)に比べると、おおまかっていうか、どんぶり勘定と言った按配なのだ。で、オレンジバーグに住む知人に電話をして空模様を確かめた。

モールの駐車場に車を停めた。今回はビデオで撮影する。隠れる瞬間って、写真には撮れないものね。車の中でそそくさとおにぎりをほお張る。バッグの中にお菓子をどっさり持って来たので、ガキンチョは遠足気分ではしゃいでいる。私は、時報を流し続ける短波ラジオをビデオのマイクのそばで持っている役目。部分日食の時は、タイムキーパーと記録がかりで、炎天下焼き豚の心境で秒読みをしていたのだが、今回は冷えとの戦いなのだ。人に言わせりゃ「良いご趣味ですね」となるだろうが、家族にとってははた迷惑という部分が無いわけではない。

7時13分、「まあだ?」といい続けるミーを「うるさい!」とおとうが怒鳴る中、アルデバランという星は月の影に姿を消した。その瞬間をはっきり見たのは、ビデオを覗いていたおとうと、双眼鏡を持っていたカオだけだった。うっすらと雲がかかっていたこともあり、私には分からなかった。家に戻ってビデオで見たら、パッと消えた瞬間が、神秘的で素敵だった。(本当にOccultの世界よ。)こういうのは、やはり悪い趣味でないことは確かである。