ミーの遠足
ミーの遠足について行った。ミセス・スミスから付き添いを頼まれた時、ノンがK−4だった頃は遠足なんてなかったはずだと思った。「今年、初めて行くのよ。すごいでしょう?」場所は空港である。10分あればついてしまう。が、ミーと私のとっては初めてのスクールバスなのよ。そりゃ、バスはただバスよ。そんなに面白いもんじゃないけれど、乗ってみないことには始まらない。私は二つ返事で付き添いを引き受けたのだった。
当日、付き添いの親は7人。母が3人父が4人。PTAでもそうだけれど、「子供のことは母まかせ」の日本がウソのよう。ミセス・スミスと副担任のミセス・ヒューストン、その他特殊学級の子供に専任の先生がつき、ミセス・スミスの娘がヘルパーとして駆けつけた。「子供は必ず大人と手を繋いでいるように。」ミセス・スミスが言う。子供は19人だった。
一人ずつ、名前と学校名、学校の住所を書き込んだネームタグを手首につける。誰かが「赤ちゃんが生まれるとこういうのつけるよね」という。大人はそれぞれ自分の子と指定された子供の手を取ってバスに乗り込む。私はミーとサマンサと一緒に乗り込んだ。ガキンチョも大人もうるさい。はしゃいでいる。イアンのお母さんが「ディランがあなたの日本の話を面白かったって言ってたわよ。」と話し掛けてきた。初っ端からなれなれしかったあるお父さんは「ミーは紙を器用に折って何かを作るんだってね。すごく頭が良い子なんだって?」そう言われりゃ、悪い気はしないが、肩に手を置かないでくれない?なれなれしいにも程がある。サマンサは途中で「ここが私の行っているチャイルドケアよ!」と叫ぶ。
空港に着くと係のミス・ペギーがバスに案内をしてくれる。飛行機の整備をする所、巨大な燃料タンクが並んでいる所。いたるところにゲートがあって、入ると必ず止まって、ゲートが完全に閉まったのを確認しないといけないんだという。州知事の専用機が入っているところ、警察のヘリコプターが入っている所は運良くシャッターが開いていた。消防自動車は何台もあって、中には鮮やかな黄色いのもあった。「夜でも見えやすいでしょ?」ミス・ペギーは言った。何でもいいけど、全部英語だ。我がガキンチョはみな、こーゆー環境でよくやっている。今更ながら感心してしまう。バスでゆっくり回ること1時間。2月とは思えない暑さ(!)の中、私はすっかり眠くなってしまった。ただ、バスに乗っていただけで、ミーの遠足は終わった。
PS;妙になれなれしいと思ったオジサンは実はもう何度も会ったことのある人だった。家に戻ってからそのことに気づいたのだ。よく見れば、髪の毛の色や目の色がみな違っていて特徴があるというのに、覚えられない。服装や髪型で覚えておくと今日のトマスのお父さんのように、わからなくなってしまうのよ。トマスのお父さんは今までジーンズばかりだったのに、今日はスーツを着ていたのだもの。アメリカの場合、目の色を覚えておくのが大事である。特に女性は髪を染めてしまうとガラっと感じが変わってしまうから。