バレンタインデー
バレンタインデーである。
ガキンチョは3年生まで(それ以降もクラスによって)宿題でクラス全員にカードを用意しなければならない。我が家の場合、カードは好みの物がなくなると困るので、早々に買っておいた。小さなカードが30枚ほど入って2ドル前後。中にはシールになっている物やキャンディー付きのものもある。ガキンチョはカードと封筒に名前を書き、小袋入りのキャンディーやチョコレート、グミなどを入れて13日の金曜日に持って行った。
その日、ミセス・デイは「日本のお話とお弁当どうもありがとう。このチョコレートはミスター・サイトーにあげちゃだめよ!」と言って私にチョコレートの詰め合わせをくれた。このまえ1年生に日本の話をした時、日本でもバレンタインはお祝いするのかと聞かれた。「日本では、もっぱら女性から男性にチョコレートが贈られる」と言ったら、ミセス、カルプが「女性は何も貰えないの?」と驚いたように言った。ホワイトデーの説明をした後で、つい「私はミスター・サイトーに何かしらあげているのに、彼は私には何もくれたことがない。」とぼやいてしまった。「お返しをしないミスター・サイトーはチョコレートを貰う資格がないのよ!」とミセス・デイ。
ミス・ケイはバレンタインデーにボーイフレンドのアンディーがレストランに連れて行ってくれると言っていた。ちょっとおしゃれをして、多分、花束とキャンディーがつくだろうと言う。時折、電話をくれる友人は、妻に毎年バラの花束をあげるんだそうだ。黄色いバラの花束とキャンディーを用意してあると言っていた。「君のハズバンドは何を用意しているのかな?」私が今まで貰ったことがないと答えると、とてつもなくデカイ声を出して「そんなバカな!」と叫んだ。私は「釣った魚に餌はいらない」という話をしてやった。彼は「妻にこそプレゼントが必要なのに!」だって。サウスカロライナは女性の天国なのよ。
バレンタインデーにグローサリーに行った。花束がごそっとあって、男性客がひしめいていた。チーが「お花が欲しいの?チッチが買ってあげようか?」と聞く。花束が問題なのではない。何かを妻にプレゼントしようという、その気持ちがうらやましいのよ。確かに、おとうに文句を言って何かを買わせることはできるかもしれない。(欲しけりゃ勝手に買えばいい、で終わるだろうけれど。)でも、それじゃ何にもならないのよ。結婚してだいぶ経つけれど、なくしてしまった物は大きいのよ。そうがっかりしていると、おとうが「寿司でも食いに行くか!」と言った。やったー!と喜んだのもつかの間、「バレンタインデーでどこも混んでるよなあ。やっぱりやめた。ウチで食おう。」だって。あー、イヤになっちゃうよー!