圧力鍋
圧力鍋を買った。こっちへ来てから、ずっと欲しいとは思っていた。日本では電気圧力鍋を使っていたのだが、サイクルが合わないのと、6人家族にはちと小さいので、持って来なかったのだ。2年半も買わなかったことに「怠慢!」とおとうは言ったが、スロークッカーなるものとどちらにしようか迷っていたし、毎月気がつくと予算オーバーしていて、買いそびれていたのよ。どんぶり勘定もいいところだものねえ!
スロークッカーは、煮物にはいいと思う。時間をかけて煮込むので味もしみるに違いない。ところが、アメリカのはタイマーがついていない。タイマーだけを買ってつけりゃあいいのだけれど、(万が一)日本へ戻って使う場合、電気製品はトランスを通さなければいけない。一方、圧力鍋は、確かに短時間で調理できるが、「豚の角煮や煮豆は、弱火でコトコト煮る方がずっと旨い」とグルメの友人は言う。しかし、作ってからしばらくおいておけば味はしみこむし、今までなんども鍋を焦げ付かせて泣いてきたことを考えると、圧力鍋は魅力的なのだ。手っ取り早く手に入る骨付きの大きな固い肉を美味しく料理するには、本当に強い味方なのよ。
料理する時、鍋の両側に取っ手が二つ付いた両手鍋より、片手鍋の方が押さえやすくて私は好きだ。特に電気式のコンロは滑りやすいから。買ったのは、容量が6クオートの片手鍋で、しかも、長い取っ手の反対側に小さな取っ手がついている。要するに、両手鍋の片方が長―くなっているということもできるのだ。圧力鍋は、鍋だけでも重いので、この両側の取っ手はすごくうれしい。
説明書を覗き込んだおとうは言った。「英語かあ。それじゃ、使うまでだいぶ待たなきゃいけねえなあ。」まったく見くびられたものである。いくら英語が苦手とはいえ、圧力鍋は高校生の頃に母にねだって買ってもらったこともあるのよ。(母は私が一人暮らしをはじめる時、「これは私が使うわ。」と言って、その圧力鍋をくれなかった。以来、母が圧力鍋を使った形跡はないのだけれど。)だから、説明書も知っていることばかり書いてあるわけだから、それほど難しくは思わない。
買って2日目の夜中。ミーが高熱を出しているのに気がついた。「この分だと明日は買い物にも出られそうにないぞ。」私は台所に行って、大豆を洗い、水につけた。翌日、牛肉やらニンジンやらを入れて豆を煮るのに、早速圧力鍋を使ってみた。圧力がかかるのがとても早いし(底が平らで、熱伝導がいいのだ)、圧力を抜くのも、重りを傾けるのではなく、安全弁を押す構造になっており、簡単で安全。大きくて重いので、洗いづらいけれど、なかなかの満足度。その日、夕飯は美味しい五目豆が食卓を飾ったのだった。ふっふっふっ、専業主婦の実力を思い知ったか!とんちゃん!
PS;圧力鍋は69ドル+税金でした。日本で買うより安いでしょ?ちなみにその店では、おとうが日本で18000円で買ったのと似たような手動式のスライサーが99ドルで売られていた。おとうにはもちろん言ってない。機嫌が悪くなるのは目にみえているから。