電話番号



 冬休みに入る前、K-4担任のミセス・スミスは手紙の中でクリスマス後に自分の家の電話番号を言う練習を始めると言った。4才のガキンチョとはいえ、テストがあって、結果はいわゆる教育委員会にpermanentに保管されてしまう。テストといってもたいしたことはないんだけれど、できなかったと言われるよりできたと言われた方が気分が良い。微妙な親心をくすぐられるのだった。

年末にあった個人面談ではテストの項目を一つずつ説明して、結果を教えてくれた。両足飛びができるか、片足ではどうか、ボールを投げたり、取ったりできるか、数は言えるか、実際に何かを数えられるか、話を理解しているか、いくつかの(指定してある)文字を読めるか…など。ミーの場合はすべてクリアで、先生は「テストの項目にはなかったのだけれど、いくつまで数えられるかテストしてみたの。小さな花のビーズを数えさせたんだけれど、私が用意した13個のビーズをちゃんと数えたんですよ!この年では、自分が数えたものと、まだ数えていないものを区別するのはとても難しいことなんです。でも、ミーはしっかり数えたものを手で、動かしたの!」と大喜び。さらに「ミーは手先も器用で、いろんな事ができる。だから、みんなミーのそばに寄ってはミーに教えてもらおうとしている。体は小さいけれど、みんなのリーダーになっているんですよ。」ここまで誉められると、次もある程度はできないと格好悪いんじゃないかと愚かな母は思ってしまう。

ところがこの母、自分が勉強嫌いのためか、子供に何かを教えるのが苦手である。面倒臭い。電話番号に関しても姉たちには、おとうが教え込んだのだ。今回もおとうに頼めばいいとは思うのだけれど、おとうはとんでもなくしつこくて、ガキンチョが泣き出してもやめないのよ。ミーがかわいそう。困ったなあ。

ところが、うまくしたもんで、みーは電話番号を覚えちゃったのよ。サンタに貰ったバービーのコードレスフォン、これで、自分の家の電話番号を言いながらピポパポしているうちにすっかり。サンタさんは本当に良いものをくれたなあ、と感謝するとともに、本当はこんな事で困らなくても良かったのだと、自分の愚かさにあきれてしまった。子供って、親が考える以上に自分で何でも吸収していくものなのよ。変な見栄で教育ママみたいになったらガキンチョがかわいそう。気をつけなくっちゃ。