サンタへの手紙
クリスマスを前にノンは学校でサンタクロースに手紙を書いた。何を書いたのか、はっきり教えてくれないのだが、北極でサンタクロースの手伝いをしている妖精(エルフ)から、「あなたの名前はサンタクロースのリストに載りましたよ。」という返事を貰って来た。
実は、チーとカオにはサンタクロースの正体を教えてしまった。話すと長くなるのでというより、きっかけになったのが何だったか、もう忘れてしまったので、かいつまんで話そう。カオとおとうが喧嘩をした。カオは「お父さんなんか大嫌い。」に始まって、公にはできないような表現で、おとうの悪口を言った。さんざん泣いた後でもおとうの悪口はおさまらない。で、話したのよ。カオは一番大好きなプー・ベアの縫いぐるみが、実はおとうが買ったものだとなかなか信じられなかったらしい。そのプーは正真正銘ディズニーストアで買ったもので、Wal-martやトイザラスで見るプーとはちょっと違うのよ。(値段も倍近い。)軽くて、柔らかくて、ホンワカ暖かくて。カオは去年のサンタを世界で最高のサンタだったと信じていたのだ。それがおとうだなんて。カオはおとうの事を怒っていたことなど忘れてしまって、おとうがカオの事を本当はちゃんと大切に思っているのだと納得できたようだ。で、チーにも打ち明けたのよ。カオとチーは「ノンとミーはまだ小さいから内緒にしておこうね」と言った。
毎週郵送される新聞に幼稚園や小学生の書いたサンタクロースへの手紙が掲載された。自分の欲しいものではなく、両親や兄弟へ送って欲しい物を書いた子がとても多かった。「家族思いなんだ!」と感心していたら、「クリスマスはね、神様の誕生日なんだよ。だから、特別やさしくしなくちゃいけないんだよ。」とカオが言った。母親には圧倒的にネックレス。父親はコンピューターと大工道具がいい勝負。男の子はNintendo 64が人気で、女の子はバービー人形やその関連商品。バーチャルペットも多かった。(Nintendo 64はタコベルというメキシカンのファーストフードレストランの景品にもなっている。)
さて、チーはサンタの正体を知ってから、「高いものを頼んじゃあ、悪いよね。」と言って、なかなか何が欲しいのか教えない。カオはしっかり自分の欲しいものを書いた手紙をおとうが鍵や免許証を置いておくコーナーの壁に貼った。去年は、バックヤードに行くドアに外に向けて貼ったのだが…。これじゃあ、誰がサンタか知ってますよと言いふらしているようなもんである。カオはまた言った。「お母さんも今年はプレゼントをお願いすればいい。やさしいハズバンドなんて、いいんじゃない?」同感だね。
PS;アメリカの子供は(といっても、私が知っているのはサウスカロライナだけよ。)小学校に入るまでは字が読めないケースが多い。近年、幼児教育に熱心になってきているので、義務教育のキンダーガーテンでアルファベットを教えるようになってきている。去年、フルデイ・プログラムが出来て、ちょっとのんびりタイプの子供もしっかりアルファベットを教え込まれたからか、今年の1年生は本を読み始めるのも早いような気がする。それでも、地域によって大きな差があるわけで、その中でもさらに個人差があるのだから、手紙を読むサンタさんも大変である。例の新聞に載っていた中でも難解なのを一つ紹介する。
Dear Santa,
I witr sobte powro can hav a hes and wotr and fewd and moe.
人の事を笑ってはいけない。何を隠そう3年前、我が子の書いたサンタへの手紙が判読できず、子供が望んでいたものとは全く別のものを送ったのは私たちなのだ。