サンクスギビング
サンクスギビングはその由来なども日本にはなじみのないものであろう。私自身、がきんちょが学校で習って来て、初めてサンクスギビングについて知ったように思う。
アメリカ大陸は、1492年に「コロンブスによって発見された」として世界の歴史に登場する。以来、ヨーロッパからこの新天地に人々が移り住むようになった。宗教的な自由を求めてピューリタンと呼ばれる人たちが1620年にアメリカへやって来たのは有名である。現在のマサチューセッツに集落を作ったのだが、厳しい寒さと食料不足と病気で、多くの人が死んで行った。救済の手を差し伸べたのは、先住民族である「インディアン」であった。インディアンは食料を分け与え、魚のとり方や農作物の栽培方法を教えた。そして、秋にはめでたく収穫を迎え、インディアンを食事に招待したのである。これが最初のサンクスギビングなのだ。
チーによると、この話にはまだ続きがあるのだそうだ。食事に招待したのは良かったのだが、参加者が多すぎて、料理が足りそうもない。困っていると、それを察知したインディアンはワイルドターキーを獲って来て、ピューリタンたちに差し出した。ピューリタンたちはこれを料理してみんなで食べたと言う。だから、サンクスギビングにはターキーを食べるのよ!
学校ではハローウィンが終わるとすぐに、このサンクスギビングの準備に入る。インディアンやピューリタンの歴史、それに先立つポカホンタスとジョン・ロルフの結婚などを勉強する。学年によって学習の仕方は異なるが、ファースト・サンクスギビングの献立をそっくり再現したり、実際にアップルソースを作って試食したり。その中で一番楽しそうなのは何と言っても1年生である。
1年生は11月の上旬にピローケース(白か明るい色)、大きなコーヒー缶を持ってくるように連絡があった。ピローケースは枕を入れる布袋なのだが、首と両手を出す穴をあけてインディアンの衣装を作るのだ。コーヒー缶は太鼓になる。この衣装を着て、太鼓を持って、グラウンドで踊るのだ。グラウンドにはインディアンのテント(ティーピー)まで作ってある。1日中こうして過ごすのよ!
2年前、カオが1年生だった時、実はピローケースの事を書いた手紙を私は受け取らなかった。カオがカバンに入れなかったのか、友達のところに交じってしまったのかわからないけれど。で、カオは先生が持っていたスーパーの紙袋でその衣装を作った。幼稚園のノンのお迎えでカオとラティーシャだけが紙袋なのを見て、私はびっくりした。担任のミセス・ヒューズと「連絡をもっと緊密に取っておけばよかった」と、後になって話したものである。カオは「カオカオもこれ作りたかったなあ」とちょっとさみしそうにノンの作った衣装を見てつぶやいた。こりゃ、作るしかない!というわけで、スーパーへ行ってピローケースを買って、我が家は大騒ぎなのよ!例年、サンクスギビングにはおとうの同僚の家に招かれる。今年はそのピローケースの衣装を着て出かけるのだ。
PS;ピローケースの衣装はアメリカの常識なんだそうである。まさか1年生の必修科目という訳ではあるまいに。ポカホンタスの話も私たちはディズニーの映画だと思っていたのだが、実在の人物でしかもアメリカの歴史上とても有名な人なのだ。アメリカ人で知らない人はいないくらいにね。それからピューリタンのことは、ピルグリム"pilgrim"と言っている。がきんちょに教わることってホント多くてタメになるでしょ?