Party Of Five



ミス・ケイの宿題に「テレビをみる。」というのがある。英語は死ぬほど苦手なままでなかなか聞き取れないのだけれど、それでもその番組は面白く見ていた。後日レッスンの折にミス・ケイが解説してくれるので、なんとなく筋がわかるという次第である。

"Party Of Five"は5人兄弟の物語である。近年日本では、トレンディードラマという実生活よりちょっぴりカッコイイ生活のドラマが流行っているようだ。私はほとんど見たことがないのだけれどね。で、このParty of Fiveにはそういうカッコイイ生活は出てこない。アメリカンドリームとも無縁の、でもちょっと普通より波瀾万丈の生活を送っている若者たちが描かれている。シリーズの途中から見始めたので、ミス・ケイに状況の説明をしてもらわなければ、筋を理解するのは難しかったと思う。

両親は交通事故で亡くなり、当時21才だった長男が4人の弟や妹の親権者となって育てていく。次男はかつてアルコール中毒で6ヶ月前に起こした飲酒運転の事故で更正中の身。長女は高校卒業後、奨学金の話を蹴って結婚する。次女は高校に入ったばかり、三男は4才だか5才の幼児である。両親が亡くなった時、三男はまだ赤ん坊だったということらしい。

まず、ドラマから得る情報が多いのに驚いた。何度も言うように、私の場合はミス・ケイがフォローしてくれているから得る物が多いのに決まっている。でも、病院のカスタマーサービスの項目にあったAAが何のことかもこのドラマを見ていたおかげでわかったし…。(AAはAlcoholics Anonymousのことで、アルコール中毒から抜けるために集まって話し合いをしたり支えあう所。ラストネームを名乗らず、ファーストネームだけで通すことから、こういう名称になったのだ。)アメリカは学歴でどうのこうの言われないところかと思っていたら、長女がボスに「君は大学を出ていないじゃないか。高卒だろ?それがクビの理由だ。」なんて言われているし…。そして、兄弟たちが恋愛やいろんな出来事を通して絆を深めて成長していく様子に好感が持てたのだ。

ところが今回、長男が癌に冒されているという展開になってしまった。ようやくガールフレンドができたところで、長女の結婚をようやく認めようとしたところで…。日本のドラマでも主人公が不治の病にかかると言う展開は少なくない。そういうのはほとんどがなんだか安っぽくなってしまったようで、私は嫌いだった。アメリカでは癌の患者は実に多い。新聞でもテレビでも、癌患者のドキュメンタリーがとりあげられ、食生活や生活習慣に対しての警告も盛んである。どんな深刻な病気でも本人に告知するし、よほどのことがないと入院はしない。癌の治療も外来ですませることが多い。実際に癌と戦いながら生活している人は私たちの身近にたくさんいるのだ。人間の弱さとしたたかさとを飾らずに見せてくれたこのドラマが、そういう人たちに共感と勇気を与えてくれるドラマであって欲しいと願うばかりである。