ホームワークパス
学校で注文していたラッピングペーパーを取りに行った。毎年恒例になっているこのラッピングペーパーの販売は、収入の半分が学校に入るそうで、学校も本気になっている。
アメリカでは誕生日やクリスマスなど、プレゼントを買う場合もラッピングは自分でするのが普通である。クリスマス前には「ラッピング無料!」をうたった広告が目につくけれど、普段は有料か、箱や袋を買って自分で包むのだ。最近は日本でも安くないお金を払ってしゃれたラッピングをしてもらうこともあるが、箱や袋やラッピングペーパーだけ買うのも結構高いのよ。学校を通して買ったのはラッピングペーパーと袋、リボン、クリスマスカード、ギフト用のチョコレートなどなど。学校で買うと特別安いというわけではないけれど、パーティーに呼ばれるたびにちょこちょこ買いに走るよりは多少割安になると思う。それにがきんちょが「お願い!一つでも良いから注文してちょうだい!」というのよ。「お母さんが買わないのなら、近所の家を回って注文をとってくる!」「自分のお小遣いで何かを買う。」とも言う。どうしてそこまで熱心だと思う?
1) 注文の金額に応じて景品がもらえる。ラジカセを貰った子もいるのだ。2)学校の収入で新しい遊具が買える。3)クラス全員が注文すれば、アイスクリームパーティーとホームワークパスが貰える。
2番までは理解できる。日本でも考えられないことはない。問題は3番である。アイスクリームは景品のうちと思っても良い。が、ホームワークパスとはどういうことだろう?ホームワークパスは名の通り宿題をしない代わりに出すパスなのよ。一人1度しか使えないのだけれど、めちゃくちゃめんどくさい宿題が出された時や、宿題を忘れた時に便利なんだとがきんちょが言う。そりゃそうでしょーよ。でも、なんだか免罪符を連想して、いい気持ちはしないんだけどなあ。
かおの担任のミセス・アレキサンダーは1週間分の宿題や予定を書いた手紙の中にしっかり「クラス全員が出せばアイスクリームとホームワークパスが貰えるので一つでも良いから注文してください。」と書いた。それでも注文の締め切りの日、一人だけ提出しない子がいた。忘れたのだという。先生やクラスメートのすすめでその子は家に電話をして母に注文書とチェックを持ってこさせたのよ。で、かおのクラスはアイスクリームとホームワークパスを手に入れることができる運びとなったのだ。
ちーのクラスでは、たった一人注文しない子がいた。みんなで睨み付け、今でもラッピングだのギフトカードだのという話題が出ると一斉に冷たい視線を浴びせるのだそうだ。先生まで睨み付けているというのだけれど、そんなことでいいのだろうか?日本だったら、いじめの引き金になるんじゃないかと気をもむかもしれないが、ちーいわく、本人もまったく気にしている様子はないという。人の目より自分の信念を重んじるお国柄がこういうところでもあらわれているということかもしれない。
それにしても誰か私にくれないかなあ、ハウスキーピングパス。