Tofu
子供が生まれる前だから、もうだいぶ昔のことになる。福岡市に豆腐料理のお店があって、前菜からデザートのアイスクリームまで豆腐づくしのメニューが揃っていた。当時は今ほど健康に気遣う風潮がなかったので、豆腐づくしのお店はとても珍しい存在だった。しかし、当時からおとうは「血圧が高い」だの「コレステロールが気になる」だのと言っていたから、私たちは福岡に行くとたいてい立ち寄っていたのだった。
(おとうは自分の健康管理をほとんどすべて妻である私の責任だと思っているらしい。確かに食事を作るのは私で、食事の健康に与える影響はものすごく大きいのだけれど、おとうにもう一つ必要なのは適度な運動なのよ。それを何度もいうのに、おとうはソファに寝転がったまま指先をチョロッと動かして「ハイ、おしまい」と言う。そーゆーことじゃ、ダメなのよ!本当よ!)
さて、最近はどこのグローサリーストアでも豆腐を売っている。時折、賞味期限内でも酸っぱくなってしまったものがあるから困るのだけれど、簡単に手に入るということだけでもありがたい。アメリカでは都市部を中心に健康志向が高まっているんだそうな。ところが、サウスカロライナには大きな人が多いし、子供の食生活を見てもまだまだ啓蒙していかなければいけないのは明白だ。新聞には毎週水曜日に"Food"と言うコーナーがあって、その啓蒙に一役買っているのである。だいぶ前であるが、豆腐の特集があった。豆腐はまた、健康情報誌などでも取り上げられる。
豆腐はいくつかの癌や心臓病のリスクを減らせる優れた食品である。これは広く理解されていることである。しかしここいらじゃあ、「とにかくまずくてどんなに健康に良くても食べない方がマシ」というくらい哀れな評価をされているのも事実なのだ。だから、いろいろ無理してでも食べる工夫が紹介されている。小さなさいの目に切ってサラダにのせるとか、スープにいれるとか、薄くスライスしてサンドウィッチにはさめとか、クリームチーズのようにクラッカーにつけろとか…。いろんな食べ方が紹介されている。でも、水分を切って使うという方法はどこにも書いていない。水っぽさが嫌いだという人も多いと思うんだけどなあ。まあ、とにかく、その中でもチョコレートパイというアイデアにはビックリしてしまったのよ。
12ozのチョコレートを溶かし、同量のソフト、あるいは絹ごし豆腐をバニラエッセンスと一緒にフードプロセッサーに入れて攪拌し、焼いたパイ生地に入れて冷蔵庫で冷やし固めるっていうものなのだ。マーボ豆腐やしゃぶしゃぶで食べる豆腐が大好きな我が家族は、「せっかくの豆腐でそんなもん作らないでよ!」と怒った。私も同感。でも「成人病は恐いけれどチョコレートパイがないと生きていけない。」そういう人はすごく多いんだよね、アメリカには。
PS;誰かTofuチョコレートパイを作ってみたら、感想をお聞かせくださいな。