ぽぽこ4 元気になったのはうれしいけれど・・・



 ぽぽこはすっかり元気になった。ドッグフードもたくさん食べるようになり、胸の回りががっちりしてきた。ひとなつこくて、見知らぬ人にもクンクンいって、番犬にはなれない。何度かちーとかおのお迎えに連れていったが、生徒達にもクイン先生にもかわいがられていた。それが悪かったのかもしれない。

 今までにも、隣のバックヤードにフェンスの下を掘って入り込んではいた。木の杭ではだめで、おとうはでかいれんがのブロックをいくつか買ってきた。それでお隣にはいけなくなった。学校へいく私たちを見つけては一緒にいきたがって、ジャンプしたりフェンスをよじ登ったりしていた。

 昨日ちー、かおを迎えにいって帰るとき、誰かが "Doggie!"と叫んだ。時折迷子とおぼしき犬がうろうろしているので、今度はどんな犬かな、と見てみるとそれはぽぽこだった。私たちを見つけてうれしそうに駆けてきた。時々ぽぽこはにこにこ笑っているとしか思えないような表情をする。この時もそうだった。がきんちょたちは口々に、出てきちゃ駄目よ、危ないでしょ、悪い子ね、と叱り飛ばした。もちろん英語で、だ。みーまで"No! Bad girl!"と叫ぶ。

 今朝、かおとのんとみーをつれて学校にいった。(ちーはベッキーと一緒に先にいってしまったのさ)ぽぽこはクンクンないていた。いつもならフェンスのそばで私たちが帰るのを待っているのに・・・。ぽぽこはいなくなっていた。ほんのわずかな隙間から出て行ったのだ。「おまえはゴキブリか!」と叫んでもぽぽこはいない。隣の家にもいない。どこへいっちゃったの?

 学校に違いない。そう思った私はみーを連れて学校にいった。いくら呼んでもぽぽこは出てこない。バスケットゴールのあるグラウンドの方にもいった。自転車暴走族でかけ降りたグラウンドにもいなかった。あきらめて帰りはじめたとき、近所のビーグル犬が一声ないた。次にシェルティー犬もテリアもなきはじめた。ぽぽこだった。ぽぽこが私たちを見つけてものすごい早さでとんできた。感激の対面である。みーは「ぽぽこ、だめでしょーが。めっめーよ!」と叱りつけた。ぽぽこはまた、にこにこ笑っていた。

 家に戻るとおとうが車に乗り込むところだった。「ぽぽこ、いたよー」といってもにこりともしなかった。無愛想なやっちゃなー、ぽぽこのほーがかわいいじゃん!おーっとしまった、ぽぽこ探しに夢中で、水筒にお茶をいれるの忘れてた!おとうが持っていったのは空っぽの水筒だったのだ。

 とんちゃんごめんね!!!!!!!!!!