クーポン



 レジで並んでいる時、もうすぐ自分の番だというのに前の人がどさっとクーポンを出してがっかりさせられることがある。グローサリーストアで時折遭遇するのだが、中には30枚を超えるんじゃないかというクーポンをどっさりだす豪傑もいて、気の短い日本人はイライラさせられるのである。

クーポンは新聞のチラシ(圧倒的に日曜日!)にたくさんついているし、ダイレクトメールで送られてきたり、郵便屋さんが全戸に配る場合もある。10―25セントオフというのが多いのだが、ちりも積もれば…と言われるように、まとまれば結構な額になる。バーコードのついているクーポンを切り取って会計の時にレジに渡すとその値段が割引してもらえる。私もたまに使うけれど、問題は一度にたくさん使う時に起きることが多い。

私の前に会計をしていたおばさんは、お財布からごっそりどっさりクーポンの束を出した。レジのおねえさんが一枚一枚センサーの前にかざす。するとそのうちの一枚が何度やってもエラーになってしまうのだ。おねえさんはクーポンが期限内かどうかを見てもう一度センサーの前に…。が、やはりエラー。おばさんは納得しない。おねえさんは既に袋に収まったおばさんの買い物の品を全部出し始めた。結局クーポンの商品はみつからなかったのだ。おばさんは言った。「そうだわ、それ、買わなかったのよ。」

待たされた私には挨拶はない。待つことにイライラするのは日本人である。南部人は待つことをいとわない。やっと私の番がきて、レジのおねえさんはにっこり笑って言った。"How ya doin'?" 最近はこんなことではイライラしなくなったのだけれど、私はクーポンは嫌いである。