未成年者の犯罪
去年の夏日本中を騒がせたO-157はこちらの新聞でも報道された。だが、神戸の中学生による殺人事件は私の知る限り、新聞には出なかった。(見落としたかもしれないけれど、いずれにしても大きく扱われはしなかったはずだ。)未成年者による殺人事件なんて珍しくないってことだろうか?私はとても不安になった。
先週2日ほど、新聞の1面トップは17才の少年による殺人事件が取り上げられていた。殺されたのは12才の男の子で、5月から行方が分からなくなっていたのだった。男の子の捜索願いが出されて、調査官は近所に住むその17才の少年にも話を聞いていた。少年は殴って殺したと言ったのだが、自慢話のように話したものだからタチの悪い冗談だと思い、家出として処理した。男の子が行方不明になって4ヶ月近くたって、少年と男の子の家の間にある森の中で男の子の骨が見付かり、少年が逮捕された。警察によると少年は自供をはじめ、その中で犯人でしか知り得ない事が含まれていることから、少年の犯行であると主張する。ところが少年の親やハイスクールの先生や同級生は冤罪だとして裁判で争っているのだ。
私が驚いたのは、新聞に犯人の実名と写真、父親の写真、先生や同級生の写真などがしっかり掲載されていることである。サウスカロライナでは未成年者であっても実名と写真の公開は物議を醸すこともなく当然のこととして行われる。今回に限らず、17才だかの少女が自分の子供を遠くのおもちゃ屋に置き去りにした事件でも、少女のみならず家族の写真も掲載された。いずれの場合も家族のインタビューが載せられ、犯人をつるし上げているような印象は受けなかった。たしか神戸の事件では写真と実名を掲載した週刊誌があり、インターネットでそれを流した人もあって、少年の人権だとか言論の自由だとか、知る権利だとか喧喧諤諤の論争だった。少年の家からさほど遠くないところに住む人にしてみれば2年やそこいらで出てくるであろう少年がどこの誰かわからずにいるのは不安でたまらないという意見もあった。
今回のケースでは、少年は日本円で1800万円ほどの保釈金を払った。少年は両親の元で暮すことと、ハイスクールにきちんと通うことが要求されるそうだ。ハイスクールが少年をサポートする姿勢を取っていることなど、日本の事件とはまったく違う状況ではあるけれど、あまりの差に愕然としてしまったのだった。